猫と一緒に暮らす人にとっては、家族のように大事にしている猫と1日でも長く暮らせるのは幸せなことです。その一方で、猫も飼い主も年齢を重ねていくことになります。

それでも、猫とともに暮らしてきた時間はかけがえのないものですし、シニアになった猫だからこそ、愛着もひとしおです。そこでミモレでは、シニア猫(ここでは10歳以上と定義)と暮らす人たちのお話に耳を傾けてみようと思っています。

今回登場するのりをさんは、一時期は犬1匹、猫7匹の大所帯だったこともある女性。積極的な保護活動に関わっていたわけではありませんが、たまたま知り合いの家の庭で子猫が生まれた、近所の公園で危険にさらされている猫を放っておけない、などの理由で一時預りなどをしていました。どんな時でも猫を受け入れてくれたのは、おっとりとした性格の持ち主である、スルーギのすーさん。犬と猫とヒトという種族を超えて一つ屋根の下で仲良く暮らし、のりをさんは、病気などで旅立っていく彼や彼女も見送ってきました。

犬と猫が老いながらも、共にいられる幸せに感謝して。【シニア猫のお話】_img0
犬1匹、猫3匹の幸せな暮らし! (写真:のりをさん、以下同)
<飼い主プロフィール> 
のりをさん(50代)
会社員。子どもの頃に実家で猫を飼っていたものの、引っ越しが多い生活だったため、ペットとは無縁に。2003年に、偶然スルーギという珍しい大型犬の子犬と出会い、迎え入れることに。2009年に、元上司宅の庭で生まれたみんみんとベルマが、2011年に、自宅近くで生まれたアンバーが加わることに。
<同居猫と犬プロフィール> 
みんみん(14)
おでこのハートマークがチャームポイントの三毛柄のメス猫。元上司の庭でベルマと一緒に保護される。人懐っこい性格で、初対面の人の膝にも乗るほど。保護当初は体が弱かったのだが、食いしん坊のむっちりボディで、現在は約6kgと立派に成長した。


アンバー(12)のりをさんの自宅近所で、姉妹4匹で保護されたうちの1匹。サバ柄のブサカワ系メス猫で、臆病者の人見知り。のりをさんの膝の上に乗るようになるまで6年かかったものの、今では腕枕を強要するほどに。今年夏に急性腎不全になるも、発見が早かったため、皮下点滴と療養食で経過観察中。

ベルマ(13歳没)みんみんの姉妹で、一緒に保護されるサビ柄のメス猫。背中にファスナーついてますか? というくらい賢くて達観していて、猫というよりヒトのよう。すーさんとは大の仲良し。2022年6月に急性腎不全で急逝。

すーさん(16歳没)2003年にたまたま近所のトリミングサロンにいたスルーギのオス。ダックスフンドの子犬にぐいぐい押しやられ、おとなしそうにしているところ、飼い主と出会う。穏やかな性格で、猫が顔の上に寝ていても怒ったことは一度もない。2019年に心臓発作で倒れ、2020年5月に天寿を全う。
 


実家で猫を飼っていたので、ずっと動物を飼いたいと思っていました。仕事が忙しかったこともあり、なかなかタイミングが合わなかったのですが、2003年にペット可の物件に引っ越すことを決め、「犬を飼う!」と決めていました。ある日、近所のトリミングサロンに何匹かの犬がいるのを発見しました。生体販売していないサロンでしたが、たまたまブリーダーから犬を預かっていたようです。そのうちの1匹が、日本でも数頭しかいないというスルーギという犬種の子犬でした。その子のことが気になってしまい、翌日、お迎えに行き、すーさんと名付けました。

ずっとすーさんとの生活が続いていたのですが、2009年に我が家に猫が来ることになりました。それが、みんみんとベルマです。当時勤めていた会社の上司に、「野良猫が庭で赤ちゃんを産んじゃって」と聞かされます。当の上司は近々犬を迎え入れる予定で、猫を飼うことができません。かといって何もしないわけにもいかず、「とりあえず一時的に私が保護するから、猫を引き取ってくれる人を必死で探しましょう!」と上司に言いました。3匹生まれていたらしいのですが、保護できたのは2匹だけ。生後約3週間の手のひらサイズで、瞳もまだキトンブルーでした。

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犬と猫が老いながらも、共にいられる幸せに感謝して。【シニア猫のお話】_img2
姉妹のみんみん(左)とベルマ。保護されて間もない頃(上)と、すっかり家猫になった頃。

家に連れて帰り、もらい手が見つかるまでのつもりだったのですが、この2匹の子猫がかわいすぎて! しかも、すーさんと大の仲良しになってしまい、引き離すのがかわいそうになり、そのままうちの子になりました。

アンバーが仲間に加わったのは2009年です。近所で生まれたての4匹の猫が見つかり、外だと危険な状態だったため、保護して一時的に預かることにしました。3匹はもらい手が見つかり、1匹はそのままうちの子になりました。近所で子猫が生まれると、「また生まれたわよ」と連絡が入ったりして、一時期は犬1匹、猫7匹になってしまったことも。こんなに猫ばっかりになっても、動じることなく、「また新しい子が来たの?」といった感じで受け入れてくれたすーさんには、本当に感謝しています。

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臆病で人見知りのひどいアンバー。一緒に保護された2匹の姉妹はそれぞれ別の家の猫になったが、みんな未だに警戒心を解かないそう。
 
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