スーパーに行くのも一苦労! 見守り助ける大切さを再確認
そして次に体験したのが「スーパーへGO!」。ここでは、手押し車の取っ手を握りながらの歩行を体験。老いの状況に近づけるために、足首におもりをつけ、かつ腰が曲がった状態でスーパーへと向かうことになります。
途中に信号があって点滅し始めるのですが、早く渡りたくても足が重くて、なかなか進まずとってももどかしい!
「高齢の方と一緒にいて、『なぜこんなこともできないのか?』ともどかしく感じることがあるかもしれません。でも、それはやる気や能力の問題ではなくて、単純に老化で耳が聞こえづらくなっていたり、運動機能や記憶力が低下しているからかもしれない。加齢と共に様々な変化があることを知るだけでも他者理解に繋がりますし、周囲への優しさを持てるようになるのではと思うのです」(上條さん)
「おぼえられない」を体験して工夫を考える
私が今回の老い体験の中で、一番集中したのが「おつかいマスターズ」。これは、短期記憶や処理速度が低下するという老化現象を体験できる展示です。
「おつかい」を頼まれ、買い物リストに書かれた野菜や調味料を暗記してカートに入れていくのですが、忘れないように早くしないと……! と商品を必死にカートに入れていると、突然電話がかかってきて「追加でこれを買ってきて!」と言われるんです。もうプチパニック!
老いと共に物忘れをしやすくなる中で、自分の場合は「メモをする」、相手に対しては「一気にたくさんの情報を伝えない」といった工夫が必要なことがよくわかりました。
本当にどのコーナーも楽しくて、思わず熱中してしまうんです。こんなふうに楽しみながら老いを感覚的に知れる機会って、なかなかないですよね。
「学校の授業や自治体の研修で高齢者疑似体験をするケースもありますが、受動的かつ強制的に体験するものではなく、今回の展示では“能動的に自分からやってみたくなる”内容を意識しました。やらされるのではなく、自分で楽しんでやる。前のめりにやる。特に子供にとってはそんな体験の方が、記憶への残り方も違うはずですから」(上條さん)
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