「利益」だけが幸せをもたらすのは誤り
お金は明らかに幸せを増幅する力がありますが、限界があるということ。「地位財」で得られる幸せが一時的で、はかないことを実証しています。この研究は同時に、仕事によって手に入る「利益」を、お金だけに限定して考えることの誤りを教えてくれます。
収入を増やしたいとは誰もが思うことですが、そのために多くのことを犠牲にしていないでしょうか。その中に、持続的な幸せにつながる非地位財(仲間や友だち、家族と過ごす充実した時間など)があるのだとしたら、あまりにももったいない!
働く喜びややりがい、生活全体の充足感を意識して仕事と向き合うことが長く続く幸せをもたらしてくれるのです。逆に経営者やリーダーは、お金や肩書だけでは一緒に働く人たちを幸せにすることは難しいということを胸に刻んでほしいと思います。
第2回は1月14日公開予定です。
著者プロフィール
及川美紀(おいかわ・みき)さん
株式会社ポーラ 代表取締役社長。ポーラ幸せ研究所 所長。宮城県石巻市出身。東京女子大学卒。1991年株式会社ポーラ化粧品本舗(現株式会社ポーラ)入社。子育てをしながら30代で埼玉エリアマネージャーに。2009年商品企画部長。12年に執行役員、14年に取締役就任。商品企画、マーケティング、営業などバリューチェーンをすべて経験し、20年1月より代表取締役社長(トータルビューティー事業本部長兼務)。 誰もが自分の可能性を拓くことができる社会をミッションに、パーパス経営・ダイバーシティ経営を牽引している。
前野マドカ(まえの・まどか)さん
EVOL株式会社 代表取締役CEO。ポーラ幸せ研究所 アドバイザー。一般社団法人ウェルビーイングデザイン理事。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科付属SDM研究所研究員。国際ポジティブ心理学協会会員。パートナーで幸福学研究の第一人者である慶應義塾大学大学院教授の前野隆司氏との共著書に『ウェルビーイング』(日経文庫)など。
『幸せなチームが結果を出す ウェルビーイング・マネジメント7か条』
著者:及川美紀、前野マドカ 日経BP 1650円(税込)
メンバーが幸せに働くための組織の条件とは? 今注目されるウェルビーイング・マネジメントとは? 幸福が働く人にどのように影響するのか、最新の知見と「ポーラ幸せ研究所」の調査を元に、実践の方法までを紹介します。これからの時代のチームマネジメントに悩む人はもちろん、幸せに働きたい全ての人にヒントを与える一冊!
構成/金澤英恵
Comment