親ガチャを完全には否定できない!?子どもの貧困や教育格差に向き合う
経済力や容姿、性格など。親の特徴が子どもの人生を決定づけるという意味合いで「親ガチャ」という言葉がよく使われますが、果たしてそうなのだろうか? と疑問に思っている人も少なくないのではないでしょうか。
「人生がうまくいかないのを親のせいにするのは甘え」「親に恵まれないなら、それを乗り越える努力をすべきだ」──もしそんな考えがちょっとでも浮かんだら手に取っていただきたいのが、『「無料塾」という生き方 ― 教えているのは、希望。』という書籍です。
本書は経済的に恵まれない家庭で育ち、学習環境が十分ではない子どもたちに無料で勉強を教える「無料塾」について書かれていますが、著者で無料塾「八王子つばめ塾」の創設者でもある小宮位之さん自身も貧困家庭出身ということで、自身が経験した貧困や生徒たちを通して知った貧困についてもリアルに描いており、「甘え」「努力が足りない」といった見方は机上の空論でしかないことを突きつけられました。そう考える根拠となったのが、本書につづられたあおいさん(仮名)という生徒さんの事例です。
「彼女(あおいさん)が低学年のときに両親が離婚し、実の母親はあおいさんを含め、きょうだいを置いて家を出ていってしまったというのです。しかも彼女は、お母さんが家を出ていく瞬間を克明に覚えているとのこと。この話を聞いて、涙があふれました。自分を置いて母親が出ていってしまった、その例えようのない寂しさを想像するだけで胸が張り裂けそうになります。一部始終を聞いた私は、こう思いました。『それは、学校の勉強どころではないな……』」
とても心がしめつけられるエピソードですが、同時に「無料塾」というのは、あおいさんのように、自力ではどうにもならない貧困や教育格差で苦しむ子どもたちの救済手段であることもわかりました。では、無料塾とはいったいどんなシステムで、何をもたらしてくれるのか? 今回は、それらについて書かれた部分を抜粋してご紹介します。
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