言葉を使って自分の話を聞くのは面白い上にご自愛効果も?
最果:そこは会話だとできないですよね。だから、言葉を使って自分の話を聞くのは面白いですよ(笑)。スラスラと自然に自分が紡いでいく言葉は、自分を愛でる意味もあるかなって。
松本:年齢によって変化したことってありますか?
最果:10代の頃はすごくとんがっていたんです。もちろん、今でも、ちょっと潔癖症なところと、人前で心を開くのが苦手なところは変わっていません。でも、昔より、自分が見ている世界以外の世界のことも見えてきました。例えば、昔読んでいた漫画を読み返してみたら、嫌いだったキャラクターを好きになっていることがあったり。苦手だったキャラクターが置かれている環境を俯瞰して想像して、逆にかっこよさが見えてきたり。いろんな視点が自分に増えているんだなと思います。
小学生になる前に読んでいた『らんま1/2』では、主人公のライバル役・シャンプーが好きじゃなかったんですが、今読み直したら、すごく好きだなと。シャンプーに片思いしている幼馴染に対して、きついけど優しく接しているんですよ。思わせぶりな態度をせず、対等に扱いながら、幼馴染みという親しさは壊さずに接している。いいなと思いました。
松本:心のひだが増えるということもあるかな。
最果:物の見え方がどんどん複雑化して、
詩は、特にそうやって書けるものかもしれません。
松本:ルールがない、というのタヒさんぽいです。私は、ルールがない世界なら、そのルールがないという世界のルールを教えて、とか、自由にしようと言いながら、気がつけばルールを探している。タヒさんの言葉は私たちに委ねられているからこそ、タヒさんの言葉が面白いんだなと改めて思います。これから夢はありますか?
最果:詩はこれからもやっていきたいのですが、
最果 タヒ
1986年生まれ。詩人。2006年、現代詩手帖賞受賞。2007年、第一詩集『グッドモーニング』を刊行し、中原中也賞を受賞。映画化、個展、作詞、街とのコラボレーションなど、ジャンルを超えて活躍。最新詩集に『落雷はすべてキス』小説作品に『星か獣になる季節』、エッセイ集に『きみの言い訳は最高の芸術』、絵本に『ここは』(及川賢治/絵)、翻訳作品に『わたしの全てのわたしたち』(サラ・クロッサン/著、金原瑞人との共訳)等がある。
松本知登世
ビューティエディター、ライター。1964年鳥取県生まれ。 大学卒業後、航空会社の客室乗務員、広告代理店勤務を経て、婦人画報社(現ハースト婦人画報社)に入社。 その後、講談社「Grazia」編集部専属エディターなどを経てフリーランスに。美容や人物インタビューを中心に活動。近著『もう一度大人磨き 綺麗を開く毎日のレッスン76』( 講談社)ほか、著書多数。
『顔は言葉でできている!』
松本千登世著¥1540/講談社
顔立ち:顔の形や作り、目鼻立ち/顔つき:気持ちを表す顔の様子、表情。
「時間を重ねるごとに、気持ちが顔の形になり、作りになり、目鼻立ちになり、持って生まれた顔が変化していく…。だから逆に意志の力で顔は作ることができる」という著者。
美容のプロである著者の気持ちを瞬時に変えたひと言を、イマジネーションを刺激する写真を添えて、ストーリーとともに綴っています。何気なく話す言葉、聞く言葉、かけられる言葉、目にする言葉の中に、あなた自身の顔つきを育てる「宝物」を発見できるようになる1冊です。
画像制作/森京子
文/藤本容子
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