コロナ禍になり、私たちの“働き方”は、大きな転換期を迎えています。リモートワークや、時差通勤を推奨する企業が増え、満員電車と戦わなくてもよくなった。会議がリモート化したおかげで、時間にゆとりが生まれた人も増えているのではないでしょうか。空いた時間を副業に充てたりと、本業だけに固執しない働き方が話題を集めています。

その一方で、懸念点があるのも事実。とくに、入社したばかりの新人にとっては、リモートは最大の敵かもしれません。対面ではないので、気軽に上司に質問することができない。さらに、ONとOFFの切り替えができなかったり、孤独に悩まされたり……。新型コロナウイルスと上手に付き合っていくうえで、私たちが解決しなければならない問題は、まだまだ山積みです。

そんななか、4月13日にスタートするドラマ『悪女(わる)〜働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?〜』(日本テレビ系/以下『悪女わる』)は、タイムリーな話題が目白押しなのです。原作は、深見じゅんさんによる漫画『悪女(わる)』(講談社)。累計710万部を突破しており、連載完結から25年経ったいまでも人気を集めています。

主演を務めるのは、ドラマ初主演となる今田美桜さん。『花のち晴れ〜花男 Next Season〜』(TBS系)の小悪魔キャラでブレイクした彼女が、底抜けに明るいポンコツ新入社員・田中麻理鈴を演じます。コロナ年入社組の悩みや、育児休暇制度の問題、さらには転職ネィティブの話題まで。30年前、石田ひかりさん主演でドラマ化された時とはまたちがった『悪女わる』が観られそうです。本作は、私たちに問題解決のためのヒントを与えてくれる作品になるのではないでしょうか。

 


平成版と令和版の大きなちがいは?


平成版『悪女わる』には、男尊女卑が色濃く現れていました。「過労死するまで、頑張ります!」(これも、令和で言ったら問題になりそう……)と宣言する麻理鈴(石田ひかり)を見た先輩OLたちは、「女が、過労死するほどの仕事、商社でやらせてもらえると思ってんのかね」と鼻で笑っていました。さらに、女性はパスポートを作ってもらえず(転勤や、海外に行くような仕事を任せてもらえないため)、仕事はつねにルーティンワーク。そのため、「OLなんか、つまんない。男に生まれたらよかったのにね」と文句を言いながら、寿退社を目指すしかなかったのです。

“OLの幸せは、平凡にお茶くみをして、職場結婚すること”なんて言っても、大きな問題になることはない。平成版が放送されていた時に比べると、女性が生きやすい社会になっているのかもしれません。きっと、令和版では「商社に来る“女の子は”、みんなコネだから」なんて差別してくる上司もいないでしょう。ただ、いまだに、“何かを得るためには、何かを捨てなければならない”と悩んでいる女性は多いと思います。子どもを産むなら、キャリアを捨てなければならない。仕事に邁進したいのなら、家庭を持つことは諦めないと……と働く女性は、「何を捨てるのか?」問題に悩まされる。

平成版『悪女わる』が放送されていたころは、女性は結婚したら仕事をやめるのが“普通”とされていました。しかし、今はその“普通”が変わってきている。諦めるしかなかった時代から、戦う時代へーー。さらにパワーアップした田中麻理鈴の戦いが見られるのが楽しみです。

 
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