料理を仕事にしている野村友里さんは、取材、撮影、打ち合わせといった際にも仕事場でもある家にお客さんを呼ぶことが多い。そんなとき、「あれば心がほっとするし、お客さんも喜んでくれるから」と野村さんが用意するのは手作りのお菓子。春は桜の葉を使い、夏は涼しげにジンジャーゼリーをガラスの器で、秋は大好きな栗をふんだんに使って……と、季節感をお菓子にも盛り込むのが野村さん流。今の季節に作るのも、冬ならではのあのお味。

「そばぼうろ」

 材料(作りやすい分量)
・そば粉(そばの実を挽いてもいい) 130g
・三温糖 100g
・薄力粉 50g
・重曹 3g
・太白ごま油 大さじ2
・卵 1つ

 作り方 
① ボウルに三温糖と太白ごま油と卵を入れてすり混ぜ、そば粉、薄力粉、重曹をふるい入れて、粉気がなくなるまで混ぜ合わせる。
② 1の生地をめん棒で5mm厚さにのし、細長く切る。
③ オーブンシートを敷いた天板に並べ、180℃に熱したオーブンで10分焼く。


「わらび餅」

 材料(作りやすい分量)
・わらび粉 40g
・水 200ml(やわらかめなら240〜250ml)
・きび砂糖 適宜
・きな粉、黒蜜 適宜

 作り方 
① 鍋にわらび粉ときび砂糖を入れ、水を少しずつ加えて、だまがなくなるまでよく混ぜ溶かす。
② 鍋を中火にかけ、木べらで混ぜながら練る。粘りが出て透明になったら火から下ろす。
③ 水でぬらしたバットに流し入れ、そのままおく。
④ 固まったら一口大に切り、きな粉をまぶす。器に黒蜜を敷き、わらび餅をのせる。
※ きび砂糖は、黒蜜をかけて食べるときは少なめに。そうでないときは、しっかり甘さを感じる程度に多めに入れるといい。


「そばの実はこの季節手に入りやすいし、コーヒーミルを使えば挽くのも簡単。植物の根は体調を整え、体を温める作用があるので、実はわらび餅は冬にいただくのがいいかもしれませんね」。
季節ごとに素材や味付けを工夫した野村友里さん特製和菓子は、新刊『春夏秋冬 おいしい手帖』にたくさん掲載されている。母や祖母から受け継いだ日本のレシピが130も掲載されているが、こんな素朴なお菓子たちも、野村さんが小さい頃から日々のおやつとして食べてきたものだ。和菓子ときくと難しそうだが、この2つは手順も少なく、とっても簡単に作れる。家にいることが多い冬だからこそ、ぜひチャレンジしてみてほしい。

野村友里

フードクリエイティブチーム〈eatrip〉主宰。ケータリングやTVドラマ、CMのフードディレクションなど、多岐にわたる活動を通して食の可能性と愉しさを伝えている。

 

<新刊紹介>
『春夏秋冬 おいしい手帖』
野村友里 著 マガジンハウス刊 2900円(税別)

野村友里が作る、母たちから受け継いだ日本のレシピ130。旬の素材と昔ながらの製法で調理された和食を、写真家・戎康友の視点で鮮やかに切り取る。『Casa BRUTUS』で4年続いた連載に新しい料理を多数加えた、完全保存版のレシピ本。


・第1回「年末年始の胃の疲れに……野村友里さんおすすめの「湯葉丼」に挑戦!」 はこちら>>
・第2回「おもてなしにもぴったり! 脱・マンネリな「大人の鍋」。」はこちら>>

構成/真田奈奈(マガジンハウス) 撮影/戎康友、永禮賢(野村さん)