タフでスポーティな雰囲気を醸し出す、オメガ「スピードマスタープロフェッショナル」。実はこの時計は、もともと義父が夫に譲ったもの。それが夫にはどうしても似合わなかったらしく(笑)、巡り巡って私のもとにやって来たのです。モーレツな仕事人間だった義父と、エプロンが似合いそうな穏やかな人である夫は、言わば正反対のキャラクター。そんな性格の違いは時計の趣味にも表れていたようで、せっかく譲り受けたスピードマスターも、しばらくはタンスの奥で眠っていたそうです。
一方、私はと言えば、若い頃から「いつかは本格時計を・・・」と憧れながらも、時計をすることでファッションを縛られてしまうような気がして、なかなか手を出せずにいました。いま思えば、自分のスタイルが定まっていなかったからこそ、しっくりくる時計を選べなかったのかもしれません。それが、30歳を過ぎて彼と出会い、彼の服や小物を共有させてもらうなかでスピードマスターと出合ったタイミングは、ちょうど自分らしさが確立されてきた頃。“ショートヘアでおしゃれは辛口、メンズライクやメンズも大好き”。この時計は、まさにそんな私のスタイルにがっちりとハマってくれたのでした。
義父が仕事一筋で駆け抜けた時期を支えていた、時計。同じように、私もこの時計には、たびたび背中を押してもらっている気がします。仕事で自分の弱さや至らなさを直視せざるを得ない時も、自分を励まし、鼓舞してくれる頼もしい存在。また、この時計の持つ、強くてカッコいいイメージは、身に着けるたび、適度な緊張感をもたらしてくれます。もしも20代で出会っていたら、スルーしていたかもしれないけれど、結婚・出産を越え、自分の在り方や生き方が見えてきた今だからこそ、この時計を受け止められているのかもしれません。
CREDIT:
(オメガのカット)
ニット/ユニクロ
パンツ/エンフォルド
リング/ブランイリス
スニーカー/コンバース
(フランクミュラーのカット)
ニット/ユナイテッドアローズ
ニット/ブラック バイ マウジー
パンプス/ペリーコ
PROFILE 昼田祥子さん
出版社勤務を経てフリーランスへ。ミモレでは主にスタイリスト連載を担当しています。
甘いものも甘い服も苦手で、最近はメンズ売り場が一番落ち着きます(笑)。