先週のコラムで、30歳後半で似合うジュエリーが変わってきたという話を書きました。似合う服が変わってくるのとほぼ時を同じくして、今まで大好きだったジュエリーもなんだかしっくりこなくなったのです。服同様、ジュエリーもまずは自分のジュエリーヒストリーを紐解く必要がありそうです。
さて、やってみますか。

スタートは高校生の頃のシルバージュエリーです。なんといっても憧れのアイテムはティファニーのオープンハート、という時代ですね。大学生になるとイエローゴールドにも目が向き始めます。カルティエのトリニティリングとか、ブルガリのスネークリングとか、何なら今よりも大人っぽいジュエリーを身に着けていたのがこの頃です。
そしていよいよ社会人に。学生の頃よりは、少しだけお金が自由になり始めるタイミング。さらに私の場合は「トランタン」という大人雑誌に配属になったので、撮影用にお借りした素晴らしいジュエリーを間近で見せてもらえるという、誘惑でいっぱいの状況に! 仕事で出会う先輩のお姉さまたちのジュエリーの着けこなし方も素敵で、ジュエリー欲が一番あったのはこの頃かも。コツコツと、本当にコツコツとお金を貯めては気になったジュエリーを少しずつ集めていきました。この頃の私にとって、特にセンセーショナルだったのはポメラ―トとの出会い。ヌードリングをはじめ、モダンでモードで可愛らしいカラーストーンの魅力にすっかりやられてしまいます。
次なるターニングポイントが、マリー・エレーヌ・ドゥ・タイヤックとの出会いです。他にはない繊細で華奢なデザイン。カラーストーンの形をそのまま生かしたリングやペンダントトップの美しさに、完全に魂を奪われました。ええ、完全に。正直、タイヤックはそうそう買える値段ではありません。だからこそ、これまたコツコツと、少しずつコレクションを増やしていきました。ペンダントトップとチェーンのセットをまず手に入れ、その後は違うペンダントトップ、長めのチェーン、と揃え、服や気分に応じて着け回していました。

そんなこんなで迎えたのが、35~36歳です。今まで似合っていた服がしっくりこなくなり、なんだかなあ、と思うのと同様に、ジュエリーを着けていてもなんだかワクワクしなくなったのです。ひとつには、ジュエリーのボリューム感と年齢との関係もあるように思います。
顔立ちや体形、背の高さもそれぞれなので、年齢を重ねる=ボリュームのあるジュエリーが似合うようになる、というわけではありません。でも、特にネックレスやピアスは顔に近いアイテムなので、あまり華奢なデザインだと迫力が出てきた顔の印象に埋もれてしまうのと、あとはファッションのスタイリングとしてではなく、あまり考えずにどんな服にでも着けているような印象が出てしまうのかなあ、と。

それから、ジュエリーの選び方と同じくらい重要なのが、その着けこなし方です。以下の写真をご覧ください。(突然、プレゼン調)

大好きなタイヤックのイエローガーネットのペンダントトップを、長めのチェーンに合わせています。カラーストーンって、石そのものが持つ意味も神秘的で魅力ですよね。

黒タートルのほうは、30代前半によくしていたスタイル。こんな風にタートルニットと合わせた、ネックレスがポイントのスタイリングでした。少し長めのチェーンでカラーストーンが胸の間にくる感じが好きでした。
そしてオックスフォードシャツのほうが、2016年の私。同じネックレスですが、ネックレスを見せる気はまったくございません。いいのいいの、見えなくて。時々、衿の間からちらっとのぞいたり、前かがみになったときにたらーんと出てくるくらいがちょうどいいんです。

なんなんでしょう、この違い……
黒タートルのほうは、まだまだモテたい気持ちがあるけど、オックスフォードシャツのほうは、そういうことは達観した感じ?? いやいや、それじゃああまりにも残念な感じだけど、というよりは、同じジュエリーに対して心構えの余裕が感じられるってことなのでしょうか。それが大人の証なのか?? それから、コロンブスの卵的な、にわとりが先か卵が先かではないですが、選ぶ服が変わってきたから、今までと同じジュエリーもまた違った感じでスタイリングできるようになる、っていうのもあります。

ジュエリーは何しろ高価なもの。ずーっと大切にして、長く付き合っていきたいですよね。服は比較的簡単にテイストを変えられるけど、ジュエリーは似合うものが変わったから全とっかえしーよーっと!っていう訳にはいきません。だからこそ、自分のスタイリングや嗜好を定点観測してくれるものとして、時々昔のものを引っ張り出して着けてみるのがいいのかも! やけぼっくいに火がついて、再び蜜月が始まるかもしれませんよー!!