「ミニタンクディヴァン」のすっきりとしたデザインは、あえてキレイにまとめないコーディネートで。シルバー&ゴールドのミックスや、テイストの異なるリングを投入。

カルティエ「ミニタンクディヴァン」を手に入れたのは、短大を卒業後、銀行に就職して3年目の頃。ちょうど主任という立場を任され、後輩の指導をするようになっていた時期で、何より“仕事ができる”“自立している”という女性像に憧れていた気がします。周りにいる、いわゆるキャリアウーマンの先輩方に追いつき、追い越したいという気持ちもあり、周囲に対して“自分を知的にアピールできる武器”が欲しかったこともあるかもしれません(笑)。あとは、できるだけ人と被りたくなかったので、そんな視点から、凛としたシャープさとクラシカルな品格を備えた「ミニタンクディヴァン」を選びました。

その後、社会人7年目の時にスタイリストに転身。それから何本か時計を購入しましたが、基本的には華美な装飾のないシンプルなデザインが好みです。ただ、いちばん最近手に入れたのは、今年に入ってふらりと立ち寄ったシンゾーンで出合ったエルメスのヴィンテージ「ケリーウォッチ」。遊び心のあるデザインが新鮮に映りました。実際に使ってみると、これ1本でブレスレットのような存在感があり、こなれた手元を演出できるのでとても便利。大好きなデニムスタイルをほどよくクラスアップできるところも重宝しています。

時計というアイテムは、持ち主の好みやアイデンティティが最もよく現れるアクセサリーだと思います。特に私は時計好きなので、誰かの時計が目に入るとつい“この人はこういうタイプかな・・・”と想像してしまいます。自分の場合は、総じてスクエアタイプの端正なデザインに惹かれますが、それもきっと、几帳面でシンプルな考え方を好むこの性格とリンクしているから。今は、40歳の記念には、ジャガー・ルクルトの「レベルソ」を手に入れたいという目論見が。その頃には、小さなフェイスと細いベルトの、少し華奢で女性らしいタイプがいいかもしれないな、と楽しく妄想しています。

“白Tシャツ×デニム×フラットシューズ”は、私の定番スタイル。「ケリーウォッチ」をプラスすることで、さりげなくリュクスな雰囲気を全身に纏わせます。


CREDIT:
(カルティエのカット)
ワンピース/キャラクス
バッグ/リバティベル
靴/サンローラン
チェーンブレスレット/ユナイテッドアローズ
ストーンバングル/ハンカイン
リング(左手中指) /ティファニー
リング(右手薬指) /dejaegher

(エルメスのカット)
デニム/バーンヤードストーム
バッグ/イエナ
バングル/ミアンサイ
リング(左手中指) /ティファニー
リング(右手薬指) /エルメス

PROFILE 川上 さやかさん

大手金融会社のOLからスタイリストに転身した異色の経歴の持ち主。シンプル&ベーシックな中にも上品な女らしさが光る、リアルな通勤コーディネートが人気。

構成・文/村上治子