多くの方が抱えている「住宅ローン」について、悩みや見直しを実際にプロに相談したら、どんな流れでアドバイスをもらえるのでしょうか?

今回は、夫の新たな住宅ローン希望で悩んでいる読者Kさんに登場していただき、住宅ローンソムリエ®として活躍中の中村諭さんによるリアルなカウンセリングをお願いしました。中村さんは、どんなアドバイスをするのでしょうか?

 
<相談者>Kさん(46歳・会社員/夫と6歳と3歳の子どもあり)
お悩み:夫が、実家で一人暮らしをしている母親のために、今後のことを考えて一人暮らしにちょうどいい大きさのマンションを購入したいと言い出しました。
すでに夫名義で住宅ローンを組んでおり、そのローンが約3000万円近く残っています。夫にとって2つめの住宅ローンになりますが、組むことはそもそも可能でしょうか。

中村諭さん(以下敬称略):主人が、お母様のためにマンションを買いたいとおっしゃっているのですね。

Kさん(以下敬称略):はい、実家の一軒家は思い出もありますし義母も気に入っているようで、手放すことはなさそうです。ただ一軒家だと、義母も年を取ってどうしても管理などが難しくなってきたため、小さくてもいいのでマンション住まいができたら安心なのでは、と夫が話しています。

あの……初歩的な話なのですが、そもそも住宅ローンは、親の住まいでも組めるものなのでしょうか。

 

中村:はい、親御さんのためであれば、基本的に組むことはできますよ。
逆に、息子さん世代が、住宅購入をしたときに住宅ローンを組むのが難しい場合に、親御さんがローンを組むというケースもあります。

K:そうなんですね、よかった……。その場合、住宅ローンが2本、ということになりますが、可能なのでしょうか。

中村:はい、条件を満たせば住宅ローンは2本でも組めます。

ただし、以前の不動産投資の記事で、「不動産投資でローンを組むと、その後住宅を購入したいと思ったときに、トータルのローン返済額が高くなると、住宅ローンを組みにくいことがある」という話をお伝えしました。
それと同じように、住宅ローンを2本組む際には、年収と返済額とのバランスをしっかり見る必要があります。

K:バランスというのは……?

中村:目安として、ざっくりと年収の35%以内の返済額であれば、一つの基準はクリアします。この返済額は、複数ローンを組んだ場合は合計額で考えます。
もちろん、これはあくまでも「借りられるか」というお話で、「実際に返していけるか」ということは、別途シミュレーションする必要があります。

K:年間の返済額を合計する、ということですね。親の家だとしても住宅ローンが組めて、さらに住宅ローンは1つだけでなく、2つ組むこともできることがわかって、少しホッとしました。

中村:はい、ただし、例えばですが「自分のセカンドハウスとして購入して、さらに人に貸す」ということになれば、住宅ローンの審査は通らなくなります。

K:そうなんですか!

中村:別荘の場合は、セカンドハウスローンを用意している金融機関がありますね。住宅ローンに比べて、金利は高くなります。

K:なるほど……。今コロナ禍で、私の友達でも、東京と地方の2拠点生活をしている人がいるんです。地方でリモートワークをしつつ、必要に応じて東京に出てくる、というような。

彼女が「地方でも家を買おうかな」なんて話をしていたのですが、その場合は、住宅ローンではなく、セカウンドハウスローンになるんでしょうか?

中村:そうですね。地方の家も自宅として住むのだと思いますが、東京に自宅がある場合は、地方の家は基本的にセカンドハウスローンになると思います。
これが、「親御さんが住むため」であれば、低い金利の住宅ローンで借りられることになるのですけどね。

 
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