「住宅ローンを見直したい」と思っても、いったいどこから手をつけたらよいのかわからない人も多いでしょう。
では、実際にプロに相談したら、どんな流れでアドバイスをもらえるのでしょうか。

今回は、住宅ローンで悩んでいる読者Aさんが、住宅ローンソムリエ®として活躍中の中村諭さんにリアルにカウンセリング。中村さん、どんなアドバイスをするのでしょうか?

 
Aさん(45歳・会社員/夫と7歳と4歳の子どもあり)
お悩み:「夫の住宅ローンの借り換えをすべきでしょうか」
2014年2月に、夫が大手信託銀行で以下のように4000万円の住宅ローン融資を受けました。最近かなり金利が下がっているので、住宅ローンの借り換えをすべきか悩み中です。どのように判断したらいいでしょうか。

<Aさんの住宅ローン事情>
金利:0.705%
返済方式:元金均等
毎月の返済額:約11万円
ボーナス時の返済額:約60万円
現在の残高:約2500万円

中村諭さん(以下敬称略):まず、住宅ローンの借り換えのご相談にいらっしゃった方には、「ご自身とご家族の年齢、そしてローン残高と年数、繰り上げ返済をしているか、借り換えの目的、使える現金」などについてヒアリングしています。

現在は金利が下がって、0.4%ほどの銀行もあります。借り換える際には、借りている金額と、現在払っている金利が0.3%を超えるくらいであれば、検討してもいいと思います。
実際には、もっと細かい条件などもありますので、電卓をたたきながら、借り換えをすべきかどうかを判断しています。

Aさん(以下敬称略):なるほど! 住宅ローンの金利だけを見るわけではないのですね。

 

中村:そうなんです。借り換える際には、諸費用や保証料などもかかりますし、やっぱり手間もかかるので、借り換えによって費用対効果がどれくらいあるかをじっくり見極める必要があります。

A:うわっ、その計算は自分では大変そう……。

中村:それと、一つ注意点があります。「団信(団体信用生命保険)も一緒に見直したい」というケースでは考え方が少し異なるのです。
団信の保障を、より充実させて見直す場合は、住宅ローンの借り換えによって毎月のローン返済額は下がらないかもしれません。でも、団信の保障が手厚くなるのであれば、借り換える効果がありますよね、という話になるわけです。

A:そうか、団信! どんなものに入っているか、すっかり忘れていました……。

中村:はい、そういう方は多いと思います。ぜひ確認したいですね。

さらに、お子さんが中学や高校などに進学し、大きな教育費がかかるかどうかも、確認のポイントです。「これから教育費がかかるので、住宅ローンの返済額を数年間下げたい」という方もいます。
その場合は、返済期間を延ばして、月々のローン返済額を下げたり、ボーナス返済をなくしたりという見直しになります。

ただし、その見直しは、いくつか問題点があります。総支払額が増えることと、返済スケジュールを変えることで、返済が困って救済策をとってもらったという形になり、審査が通らない場合があるのです。

個人で申し込みをして審査が通らない場合でも、私たちのような住宅ローンのプロが事情を聞いて、改めて返済計画を立て直すことで、審査が通る場合もあります。

A:自分で住宅ローンの見直しにトライしてから、無理だった場合にプロに相談に行くのも手ということですね。

中村:はい、そうですね。それ以外にも、例えば、ボーナス返済をなしにする見直しをして、仮に年間60万円の返済がなくなれば、5年間で300万円ですから、教育資金の確保ができますよね。教育費の支払いが終わって家計に余裕ができれば、そこから繰り上げ返済をして返済期間を短くする、といった方法もあります。

A:住宅ローンは一度35年ローンなど借りたら、ずっとそのままで行かねばならないかと思っていました。やり方はこんなにいろいろあるんだ……。

中村:はい、もちろんそのまま返済を無理なく続けていけるように、住宅ローンを組む前に検討していただきたいところですが、事情が変わったことで、ローン返済が負担になって家計が困難になったら大変ですので、そういうときは、できるだけ住宅ローンを見直しして、やりくりして乗り切るのも一つの方法です。
もちろん、どんなリスクがあるかをしっかり把握した上で、ですけどね。

 
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