ドラマ「恋なんて、本気でやってどうするの?」略して「恋マジ」は、主人公が恋愛経験ゼロ、人生に恋愛は必要ない、と言い切る27歳。公式HPによると、「恋に本気になれない6人の男女が織りなす群像ラブストーリー」とのこと。主演の広瀬アリスさんをはじめ、飯豊まりえさんや岡山天音さんなど、実力派俳優が集結していて、筆者はこの作品を楽しみにしていました。


期待していたからこそ引っかかった、言動の数々


しかし、始まってみると、ドラマの登場人物たちは思わずギョッとする言動のオンパレード。
主人公の桜沢 純(広瀬アリス)の学生時代からの友人、真山アリサ(飯豊まりえ)は既婚者と恋愛していて、清宮響子(西野七瀬)は結婚しています。そんなふたりと食事中、純が恋愛経験がなく、これからも恋愛をする気がないことをふたりはちゃかして、「なんで恋しないの?」と質問攻めにします。そして「高齢処女」と言い放つのです。

純は3人の中ではリーダータイプで、思ったことはハッキリ言うタイプ。それなのに、この超問題発言には特に嫌がるでもなく、軽く否定する程度。その後もこの発言に対して、何かフォローがあるわけでもありません。

 

さらに、3人が行きつけのネイルサロンの中川岬希(香椎由宇)も、そこらへんの男ではやく処女を捨てろ、と言ったりします。純の周囲は、徹底的に「恋愛経験がないのはダサい」「恋すれば(恋のよさが)わかる」というスタンス。

そして、引っかかったのが、純の「恋をしない」という姿勢の描き方。「恋愛なんて必要ない」と言う時、かなり意固地になっているように描かれるのです。この時点で筆者はかなり嫌な予感がしました。そしてそれは的中しました。

 


どこまでも「恋する側」から見た「恋しない人」の描き方


純が恋をしない理由として、母親が恋愛体質で、娘である純よりも恋人を優先してしまう人だったという過去が明かされます。男にすがりつき、捨てられて泣く母親を純は軽蔑し、「泣く女は嫌い」と言います。実際、会社の後輩がプレゼンで失敗し、泣き出すと、「ここで泣かないでよ」と突き放します。

そしてその後、長峰柊磨(松村北斗)に出会い、恋に落ちて、恋のことしか考えられなくなるなど、一転して恋にのめり込んでいきます。

筆者の嫌な予感とは、恋をしないという姿勢、ポリシーが、恋にのめり込んで恋の素晴らしさに気付く「前振り」に使われることでした。実際、恋に興味がなかったり必要がなかったりした人が、恋をしてみて考えが変わる、ということはあると思いますし、それ自体は素晴らしいことだと思います。問題はこれがノンフィクションではなく、フィクションであるということ。ドラマは明確に作り手の意図が反映されます。