「技術系同人誌」なら「超個人的なこと」でも本にできる


会場にはかなりマニアックな本がたくさん! ラインナップを見ているだけでわくわくします。みなさんも、これなら自分も書けそう、という技術が何か思い浮かびましたか? 思い切って同人誌出版に挑戦したら、きっと世界が広がるはず……!

筆者は商業出版しか経験したことがありませんが、出版というのはとても特別な体験です。自分の脳内で完結していたことが、文字に起こされ、会ったこともない人の目に触れる。読んだ人がまた新たなことを感じ取って、世界が広がっていく。とても不思議な感覚です。何かをいちから作る、そしてそれを誰かと共有し、感想をもらえるって、めちゃくちゃワクワクするんです。

あなただけの「技術」、本にしませんか? ミドル世代にこそすすめたい「同人誌」の世界_img0
サークル「ノート学」の和波里翠さんがそのノウハウを使って描いた「手描きのノート」や、小学生が授業で実践して描いたノートの展示がとっても楽しくて釘付けに……。

ですが商業出版では、やはり多くの人に読まれること、ある程度の売り上げが見込めることが大前提となりますし、複数の人が関わる企画会議を通らないと出版できません。だから、めちゃくちゃ個人的なこと、スーパーニッチでマニアックなことを題材にするって、簡単なことではないんです。

でも、同人誌はこの世でたったひとり、自分が面白い、これを出したいって思ったらもう作れて、出版できてしまうんです。究極に人間のクリエイティビティが発揮されるものだと感じます。無限の可能性が詰まっているのが、同人誌だと思うのです。
 

 


後編では、出展者紹介の続きと、商業作家でありながら同人誌デビューをした小説家・朱野帰子さんのインタビューをご紹介します。
 

写真/小野さやか
取材・文/ヒオカ
取材・構成/金澤英恵
 
あなただけの「技術」、本にしませんか? ミドル世代にこそすすめたい「同人誌」の世界_img1
 

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