「人に関心がない」というのは、大切な処世術
私は、昔ある人に「ひきたさんは、人嫌いではないが、人に関心がないように見える」と言われたことがあります。
いかにも自分のことしか考えないダメ人間と言われたようで、いやな気分になったものです。
しかし、今考えてみると「人に関心がない」というのは、結構、大切な処世術ではないかと思います。
あなたの「人の失敗を期待してしまいます。人の成功や、ほめられている人に共感できません。いいことをしている人がいると『余計なことをするな!』と思います」という悩みはすべて、人に関すること。「とても他人に関心が強い人なんだな」と、私には見えます。
あえて言わせていただくと、人のことなど、どうでもいい。
人のことよりも、「おいしい」「気持ちいい」「すてきだ」「あったかい」という自分の感情を大切にしてみてください。
感情に目を向けると、自分の今の状態に気づきます。すると、「少しペースを上げすぎたかな」「少し肌がくすんでる。寝不足かぁ」と自分と対話できるようになります。
まずは、自分。自分にしっかり関心をもつことを、他人への関心より優先してみませんか。
人は人、私は私、犬は犬
私が学生の頃に読んでいた週刊誌に「人は人、私は私、犬は犬」という格言が載っていました。ちょうど就活の時期で、内定をもらった人を見て、嫉妬したり、焦ったりしていました。この言葉を見たとたん、「そうだよな。他人のことは関係ない。不安を煽ること、無駄なお説教をしてくるようなやつは、『犬』というカテゴリーにとりあえず入れておこう」と、妙に励まされたのを覚えています。
私は、私。私の感情、私の身体感覚を大切にし、「とにかく自分が大事」という思考回路が生まれると、悪感情に対して「平気、平気!」と思えるような耐性がついてきました。
「人は、人」と割り切る。人のことより、自分のこと。
あなたは「性格悪すぎ」なんかじゃない。むしろ、もっと自分本位でいきましょう!
著者プロフィール
ひきたよしあき さん
コミュニケーションコンサルタント。(株)SmileWords代表。大阪芸術大学放送学科客員教授。早稲田大学法学部卒業。元(株)博報堂クリエイティブ・ディレクター。政治家、行政、大手企業のスピーチライターとして活躍し、現在は企業や各種学校をはじめ、JFA(日本サッカー協会)、浄土真宗本願寺派などでも講義。世代間のコミュニケーションギャップ、価値観や言葉遣いの違いなどを分析し、コミュニケーション能力を高める方法を伝授している。教育WEB「Schoo」、朝日小学生新聞WEB「みんなをつなぐ新聞」などでも人気を博している。『5日間で言葉が「思いつかない」「まとまらない」「伝わらない」がなくなる本』(大和出版)他著書多数。
『あなたを全力で肯定する言葉』
著者:ひきたよしあき 辰巳出版 1540円(税込)
Webメディア「コレカラ」の人気連載を書籍化。コミュニケーションコンサルタントとして活躍する著者が、仕事、育児、人間関係など、さまざまな理由で疲れきった人たちの心に寄り添い、全力で肯定します。優しい語り口がとても心地よく、疲弊した心を癒しつつ新たな活力を与えてくれるでしょう。
写真:Shutterstock
構成/さくま健太
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