お正月には伝統的な「和」の文化が気になります。“江戸の出版王”蔦屋重三郎が主人公の大河ドラマ「べらぼう」が放送されることから、令和7年己巳(きのとみ)の初春は、とくに「浮世絵」が注目される春になりそうです。
蔦重ってだれ?
2025年のNHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」は、蔦重(つたじゅう)こと蔦屋重三郎が主人公。SNSなどでも「蔦重ってだれ?」という声が上がっているようですが、実はこの蔦重、歌麿を見出し、謎の絵師・写楽の浮世絵を出版した版元なのです。現代で言えば出版社・出版プロデューサーのような人にあたります。
原宿にある浮世絵専門の美術館「太田記念美術館」編・著による『代表作でわかる浮世絵BOX』(2024年11月18日発売)は、蔦重を詳しく知ることのできるコラムや、歌麿、写楽、北斎など55人の浮世絵師の代表作によって、浮世絵の歴史を知り、楽しむ、コンパクトな浮世絵百科です。
浮世絵は一枚いくらだったの?
江戸時代の浮世絵は、人気の歌舞伎役者のブロマイドであり、名所を知る旅のガイドであり、アイドルの写真集といった面もあるメディアでした。子どもに台所道具の名前や文字を教えるテキストのような絵もあります。この絵は、切り取ってままごとに使われたりもしました。
ではそんな浮世絵は一枚いくらで売られていたのでしょうか。『代表作でわかる浮世絵BOX』によると、江戸後期には20~30文であったとあります。現代で一枚数百円という、コミックや文庫本一冊くらいの感覚だったようです。お蕎麦一杯分ぐらいという例えもあります。
江戸で評判の役者や、傾城など美人を描いた浮世絵は、安価な、軽いお土産として、全国にも広がっていきました。
『代表作でわかる浮世絵BOX』では、「浮世絵江戸MAP」によって蔦重の店があった場所や北斎の生まれたあたりを知ることもできます。ドラマの世界がより身近になるかもしれません。
また「見返り美人」で有名な菱川師宣(ひしかわもろのぶ)から、生涯に93回引っ越ししたという北斎、ダイアナ妃やスティーブ・ジョブズに愛された吉田博の新版画まで、絵師55人のエピソードも満載です。
あなたの「推しおじ」は?
有名な広重の「東海道五十三次之内 鞠子(まりこ)」で、鞠子宿名物のとろろ汁に舌鼓をうつおじさん二人。なんとものんびりした春らしい風景ですが、こんな「おじさん」に注目したユニークな展覧会も近年開催されるようになりました。本に登場する「癒やされるおじさん」や「あやしいおじさん」を探したり、それぞれの「推しおじ」を見つけることで、浮世絵の名品ももっと身近に感じられるかもしれません。
太田記念美術館では、こんなおじさんも登場する江戸の食をテーマにした展覧会が予定されています。大河ドラマのスタートは1月5日(日)。この展覧会「江戸メシ」のスタートも1月5日です。
庶民の暮らしを題材とする浮世絵で、江戸の食を知る楽しい展覧会です。
東京・太田記念美術館「江戸メシ」
寿司、蕎麦、天ぷら。料亭、屋台で味わう江戸のグルメ
北斎、広重、国芳といった人気絵師をはじめとする約90点の浮世絵を通して「江戸メシ」の魅力を紹介。
会場:太田記念美術館(東京都渋谷区神宮前1-10-10)
会期|2025年1月5日(日)~26日(日)
開館時間|10時30分~17時30分(入館は17時まで)
休館日|毎週月曜日 *1月13日は開館。1月14日(火)休館
最新情報は、公式サイト、またはハローダイヤル(050-5541-8600)でご確認ください。
『代表作でわかる浮世絵BOX』
定価:2640円(税込) 太田記念美術館・編
著 講談社・刊
写楽、北斎、国芳⋯⋯そして蔦重もわかる! 小さな浮世絵事典――絵師55人の生涯と代表作115点をやさしく解説。バラエティ豊かな浮世絵の魅力をこの一冊で。太田美術館、一般書店、インターネット書店でも購入できます。
チケット読者プレゼントのお知らせ
5組10名様に無料観覧券をプレゼント。
東京・太田記念美術館で開催される企画展「江戸メシ」(2025年1月5日~1月26日)の無料観覧券をプレゼントいたします。
応募締め切り:12月23日(月)11:59まで
●応募にはmi-mollet(ミモレ)の会員登録(無料)が必要です。
●プレゼントのご応募は、1回までとさせていただきます。
●当選者の発表は賞品の発送をもってかえさせていただきます。
構成/からだとこころ編集チーム
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