もう7~8年前になるでしょうか。人生のターニングポイント…いろいろと思うところもあり、自宅にこもっていた時期がありました。これではいけないと、当時住んでいた日本橋人形町付近をゆっくりと散歩しました。忘れもしません。真夏の、とても暑い日でした。甘酒横丁という商店街の真ん中あたりに三味線屋さんがあります。その前を通り、足が止まり、でも勇気がなくてその日は帰り…でもどうしても気になって翌日三味線屋さんに向かいました。「私が習えることってありますか?」「何も邦楽やったことないんだね?そしたらねぇ…」と先生を紹介してくださり、数日後にはその先生のお宅でお話を伺い入門させていただいていました。先生からは芸だけではなく、本当にたくさんの大切なことを教えていただき、それが今の私につながっているのだと感謝しています。私はこんなに日本の伝統が好きだったんだーと自分の知らない自分に会えたようで、とても充実した毎日を過ごすことができました。

習っている三味線音楽…先生の影響で浄瑠璃(歌舞伎などで演奏される劇場音楽)を聴くようになりましたが、歌舞伎にあまり興味を抱かず、なぜか私は日本舞踊の美しさに惹かれました。日本画に通じる優美、端正。特にこの舞踊家さんが好き!とか、自分でも習ってみたい!とかではなく、「日本舞踊のかたち」の美しさが私の琴線に触れた感じでした。日本舞踊といえば女性の習い事のイメージがありますが、私がひき込まれたのは男性舞踊家の素踊り(衣装を付けず、紋付と袴で踊るもの)でした。そして出会ったのが五耀會。私と同年代の男性舞踊家五人の会です。初めて彼らの舞台を観た時、その指先からキラキラしたものがふわっと舞い散るような、そんな錯覚すら覚えたほど。まさに電撃的でした。

若い頃、友達が夢中になっていたアイドルにも野球選手にもまったく反応を示さなかった私が、なぜいま?彼らに惹かれた?決して若くはないのに??(笑)…いろいろと謎なのですが、とにかくかっこいい♡と思ってしまったのです。それから紆余曲折があり(ここのお話は割愛・笑)現在、舞台等のお手伝いをさせていただくようになりました。そして、彼らからもたくさんの素敵なことを学ばせていただいております。
これから定期的に、五耀會メンバーのインタビューを連載します。私も知りたいあんなことこんなこと、ちょっとここだけでこっそり教えていただこう♡と思っています。第一回目は花柳寿楽先生です。どんなお話になりますか…乞うご期待!(そして各種質問受付中ですので、ぜひこの機会に!・笑)
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