人気連載「インテリアの小さなアイデア」。7月21日に『心地よく暮らす――インテリアの小さなアイデア109』というタイトルで、一冊の本になります!

著者の下田結花さんは『モダンリビング』で13年間、編集長を務め、現在、パブリッシャー(発行人)。大学卒業後、旧・婦人画報社(現・ハースト婦人画報社)に入社。雑誌『ヴァンテーヌ』(大草編集長と編集部・大森の大先輩!)に14年間在籍、その後、下田さんも予想だにしなかった『モダンリビング』への異動が、下田さんのライフスタイルを大きく変えることになりました。

そんな下田さんが人生で学んだことや、日々の暮らしを大切にする姿勢についてお話をお伺いしました。

ロンドン郊外の田園地帯へ行き、“美しい暮らし”に目覚めた
『ヴァンテーヌ』編集者時代

雑誌編集者として『ヴァンテーヌ』や『モダンリビング』に携わり、57歳になったいま、『モダンリビング』パブリッシャー(発行人)として、新たなフィールドに立つ下田結花さん。

旧・婦人画報社に入社したばかりの下田さんは、料理の単行本や、メイクやマナー、着物などの別冊の編集者を経て、『ヴァンテーヌ』の創刊メンバーの一員に。そこで、ファッション、美容、カルチャーと幅広いジャンルに携わるうちに大きな出合いがありました。それは下田さんが32歳の時のことでした。

 

「友人でハーブ研究家の北野佐久子さんの案内でイギリスに取材に行くことになったんです。はじめに行ったのは、ロンドン郊外のコッツウォルド。すごくきれいな田園地帯で、北野さんが“イギリスの両親”と慕う老夫婦が暮らしていました。リノベーションされた古い家で、家の中には美しいアンティークの家具。美しく暮らすということに初めて出合ったのがこの時でした」

イギリスの美しくて豊かな暮らしに魅了された下田さんは、毎年のようにイギリスに行くようになりました。そして、下田さんの暮らしの中で、アンティークやハーブなどが彩りを添えるようになっていったのです。

「20代の時はお金も時間もないから、衣食住の優先順位は特になかったですね。とりあえず着るものから始まって、住まいも賃貸。結婚は早くて23歳の時だったのですが、34歳で初めてマンションを買いました。この時、それまでイギリスで見てきていいなと思っていたアンティークのダイニングテーブルなどを自分の生活に取り込める、小さなスペースがやっとできたんです」

43歳で建築雑誌の編集長に……「大変なことになった!」

自分が根を下ろす場所をはじめて手に入れた感じがした、という下田さん。一方、仕事では『ヴァンテーヌ』の編集者として活躍を続けていたある日、下田さんは当時の編集局長に呼び出され、突然「来月から『モダンリビング』の編集長をやれ!」と言われます。

「大変なことになった! と思いました。実は『モダンリビング』をほとんど読んだことがなくて。一冊持って近くのカフェに行き、読んでみたんです。そしたら、ラーメン構造? 建ぺい率? なんて知らない言葉ばかり。写真は説明的すぎるし、デザインも堅すぎる。正直、全然面白いと感じられませんでした(笑)」

当時の『モダンリビング』は建築の専門誌でしたが、下田さんは「雑誌を作るということに関して言えば、建築もファッションも同じ」と考え、自分が読んで面白いものを作ろうと心に決めました。

「1998年に『ヴァンテーヌ』で「帰りたくなる部屋」という特集をやって、大きな反響があったんです。その経験から、女性誌の雑貨中心のインテリアでは満足できない人たちは必ずいて、いずれインテリアに目が向くはずと思っていました。今まで『モダンリビング』は建築だけの雑誌でしたけれど、建築とインテリアの2つがあってはじめて家になる。だから、両方やっていこうと思ったんです」