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味と鮮度を保って、時間とお金も節約できる島本流保存術


料理研究家・島本美由紀さんの著書『ひと目でわかる 食品保存事典 簡単! 長持ち! 節約!』からすぐに実践できるアイデアをご紹介するシリーズ第2回は、肉と魚の新・保存術です。
「安いときにまとめ買いしたお肉も、使い切れなくてはお金のムダづかいになってしまいます。最近問題になっている“食品ロス”を減らすうえでも、食材をおいしいまま使いきるために正しい保存方法をぜひマスターしてほしいですね」(島本さん)。
冷蔵・冷凍を上手に使い分けて、肉も魚も鮮度とおいしさをキープ。まずは、利用範囲が広く、まとめ買いしておくと便利な豚肉の保存方法からマスターしましょう。

【豚肉】密閉して冷蔵、すぐ使わない分はその日のうちに冷凍が正解!

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アレンジがきく豚薄切り肉は、ストックがあると便利な食材の一つ。未開封のパックは、買ってきたらすぐにチルド室に入れましょう。パックの中に水分が出ていたり、使いかけを冷蔵する場合は、水分を拭き取り、1枚ずつずらして、薄く平らに重ねて、ラップでぴったりと包みます。これを保存袋に入れて、チルド室へ。3〜4日のうちに使い切れない分は、この状態で冷凍します。
「おいしく保存ラボ」(上の写真右側)の結果を見れば、密閉保存の効果は一目瞭然です。1ヵ月くらい冷凍庫に入れておいても、密閉して保存したものは解凍後もふっくらとして色鮮やか。密閉しないで冷凍したものは、庫内の乾燥によって水分と一緒にうまみ成分も流出してしまいます。
 

使い道を決めて、小分けや調理の工夫でおいしく長持ち、便利度もアップ


豚薄切り肉を冷凍保存した場合、保存期間の目安は1ヵ月ほど。この間、必要なときに使いたい分を取り出せるように、おおまかに用途を考えて、小分けしてから冷凍しましょう。数枚ずつ薄く重ねて、ラップで包み、冷凍用保存袋に入れる「そのまま」保存、酒と塩を加えた熱湯でゆでて、冷ましてから冷凍用保存袋に入れる「ゆでて」保存は、どちらも保存期間の目安は1ヵ月。
好みのたれと一緒に冷凍用保存袋に入れる「下味をつける」保存は、2ヵ月ほど保存ができます。下味をつけて冷凍する場合は、野菜やきのこを加えても。どの方法も、使うときは自然解凍、凍ったままでも調理できます。

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豚ブロック肉・厚切り肉
 冷蔵 
そのままラップで全体をぴったりと包み、保存袋に入れてチルド室で保存します。購入から3〜4日以内に使い切るようにしましょう。

 冷凍
用途を決めて、使いやすい大きさに切って冷凍するのがおすすめ。とんカツに使うのが決まっていたら、衣をつけて、冷凍用保存袋に入れて冷凍します。凍ったまま揚げることができるので、まとめて作っておくと便利!

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豚挽き肉
 冷蔵 
未開封ならパックのままチルド室へ。パック内に水分が出ていたり、開封したものは、表面の水分を拭き取って、ラップでぴったりと包んで保存袋に入れて、チルド室へ。2日間を目安に使い切ります。

 冷凍
そのまま冷凍する場合は、冷凍用保存袋に入れて凍らせます。なるべく薄く平らに入れて、菜ばしなどで袋の上から筋を入れておくのがポイント。凍らせると、筋のところで折れて、簡単に取り出せます。牛・鶏の挽き肉を冷凍する場合も、この方法で!
 

【牛肉】冷蔵も冷凍もラップ&保存袋の二重密閉が基本です


牛肉は、ブロック肉やステーキ肉などかたまりのもので冷蔵できる期間は5日程度。薄切りや挽き肉の場合は、冷蔵でおいしく保存できる期間がさらに短くなりますが、上手に冷凍すれば1ヵ月は十分にもちます。ただし、庫内の空気に触れて冷凍焼けを起こすことがあるので要注意。少量ずつ分けたり、一口大に切るなど、使いやすく小分けして冷凍しましょう。

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牛ステーキ肉
空気に触れないようにすることが大事。冷蔵でも、冷凍でも1枚ずつ二重に密閉保存しましょう。

 冷蔵 
パックから出して水けを拭き、ぴったりとラップで包む。保存袋に入れ、中の空気を抜いて袋を閉じ、チルド室で保存する。保存の目安は3〜4日。

 冷凍
水けを拭き、1枚ずつラップで包んで、さらにアルミホイルで全体を包む。金属トレーにのせて凍らせてから、冷凍用保存袋にまとめる。

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牛こま切れ・薄切り肉
好き焼き肉、しゃぶしゃぶ用も同じ要領で保存します。

 冷蔵 
未開封ならパックのままでOK。パック内に水分が出ている場合や使い残しを3日ほど保存する場合は、表面の水分を拭き取って、できるだけ薄く平らに重ねて、ラップでぴったりと包む。保存袋に入れて、中の空気を抜いて閉じる。チルド室で保存し、3日以内、できるだけ早く使う。

 冷凍
生のままで冷凍する場合は、1人分ずつ小分けにしておくと便利。なるべく薄く平らに重ねて、1人分ずつラップでぴったりと包む。冷凍用保存袋に入れて、中の空気を抜いて閉じる。保存の目安は約1ヵ月。凍ったまま調理する。
下味をつけて冷凍すると、約2ヵ月保存できる。好みのたれをもみこんでから冷凍用保存袋に入れる。袋を平らにならし、空気を抜いて閉じる。野菜を加えて冷凍しても。自然解凍、凍ったまま調理できる。

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牛挽き肉・合いびき肉
痛みやすいので購入当日に使いきれない分は、使いやすく小分けにして冷凍保存を。

 冷蔵 
未開封であればパックのままで。パック内に水分が出ている場合、使いかけを翌日まで保存する場合は、表面の水けを拭き取り、薄く平らにしてラップで包む。保存袋に入れ、中の空気を抜いて閉じる。チルド室で保存し、3日以内、なるべく早く使う。

 冷凍
生のままで冷凍する場合は、冷凍用保存袋に薄く平らにならして入れる。菜ばしなどを袋の上から軽く押し付けて筋をつける。使うときは、凍ったまま筋の部分を折って、必要な分だけ取り出す。保存の目安は2〜3週間。なるべく早く使う。自然解凍、凍ったまま調理できる。

ハンバーグだねにして冷凍にする場合も、生のままと同様に。焼いてから冷凍した場合は、2ヵ月ほど保存可能。焼いたハンバーグを冷ましてから、1個ずつラップで包んで、冷凍用保存にまとめる。たねでも焼いた場合でも、自然解凍、凍ったまま調理できる。


【鶏肉】冷蔵は翌日中に使う分だけ。上手に冷凍すればおいしさ長持ち

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水分が多く傷みやすい鶏肉は、冷蔵でも風味が保てるのは2〜3日、挽き肉は1〜2日です。買い物から帰ったらすぐにチルド室に入れ、翌日に使い切れない分は早めに冷凍しましょう。
冷蔵、冷凍ともに密閉保存が基本です。2〜3日のうちに使う分を冷蔵する際は、表面の水けを拭き取り、塩と酒を軽く振って、ラップでぴったりと包み、保存袋に入れます。生のまま冷凍する場合も同じ要領で。下味をつける、ゆでるなどひと手間加えてから冷凍すれば、長持ちするうえに使うときにも便利!
少量の酒と塩を振る。これだけで保存性が高まります。

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冷蔵する場合は、未開封ならパックのままチルド室へ。使い残して2〜3日中に使う予定がある場合は、冷蔵庫に入れる前に下処理をしましょう。表面の水けを拭き取って、少量の塩と酒を振り、ラップでぴったりと包み、さらに保存袋に入れて二重密閉に。
大きめのもも肉、むね肉は、1枚を半分に切って、ささみは1本ずつラップで包みます。傷みやすい挽き肉は、未開封でもパックが大きくてチルド室に入らない場合でも、冷蔵室での保存はNGです。表面の水けを拭き取って、ラップと保存袋で二重密閉。2日くらいのうちに使う分だけチルド室で保存して、残りはすぐに冷凍しましょう。


「小分け」「加熱調理」+「密閉」がおいしく長持ち冷凍のコツ

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鶏挽き肉
冷凍用保存袋に薄く平らに入れ、中の空気を抜いて閉じる。菜ばしなどで押して、袋の中央に筋をつける。使うときは、凍った状態で、袋のまま筋の部分を折り曲げて取り出す。保存の目安は約3週間。自然解凍、凍ったまま調理できる。

ささみ
筋に沿って包丁を入れて開く。塩と酒を振ってしばらくおき、水分を拭き取る。1本ずつラップでぴったりと包み、冷凍用保存袋に入れる。保存期間は約1ヵ月。自然解凍、凍ったまま調理できる。

鶏もも肉・鶏むね肉
塩と酒を軽く振ってしばらくおいてから表面の水けを拭き取る。1枚を半分に切る、一口大に切るなど食べやすい大きさで冷凍すると使いやすい。
からあげ用など一口大に切った場合は、ラップを敷いた金属トレーに間隔をあけて並べて凍らせてから、冷凍用保存袋にまとめて保存すると、くっつきにくく1つずつ取り出せる。保存の目安は約1ヵ月。自然解凍、凍ったまま調理できる。

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鶏もも肉・鶏むね肉・ささみ
長ねぎの青い部分やしょうがと一緒にゆでる。冷めたら身をさいて、小分けにしてラップで包んで冷凍用保存袋に入れて冷凍室へ。保存の目安は約1ヵ月。自然解凍、凍ったまま調理できる。

鶏挽き肉
肉だんごにしてゆで、冷ましてから冷凍用保存袋に重ならないようにして並べて入れる。炒めてそぼろにしても便利。小分けにラップで包み、冷凍用保存袋に入れる。保存の目安は約1ヵ月。自然解凍、凍ったまま調理できる。


【魚】痛みやすく、におい移りも気になる食材。下処理で鮮度と味を保って

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市販の魚の多くは、店頭に並べる前に解凍したもの。「生」の表示があるもの以外は、家庭で冷凍すると再凍結になって、味も栄養価も落ちてしまいます。調理の直前までチルド室で保存し、なるべく購入当日に食べましょう。冷凍するのは「生」と表示のあるもの、近海ものに限定。翌日使う分を冷蔵する、切り身魚を冷凍する場合も必ず下処理をすることが、鮮度と味を保つ秘訣です。
パックのままではすぐに生臭くなってしまいます。冷蔵・冷凍ともに下処理がマスト。切り身の場合は、少量の塩を振ってしばらくおき、水分が出てきたらペーパータオルで振りとります。1切れずつラップで包み、保存袋に入れ、空気を抜いて袋を閉じましょう。
翌日使う分はチルド室へ。それ以上保存したい分は、冷凍用保存袋を使って冷凍します。「おいしく保存ラボ」で実験した結果はご覧の通り。ラップ+保存袋で二重密閉した場合とラップだけの場合では、冷凍保存2週間ですでに大差がでました。二重密閉で冷凍した切り身の保存期間の目安は3〜4週間。凍ったまま焼く、煮るなどの調理ができます。

切り身の冷凍

味付け+密閉
好みのたれにつけて、冷凍用保存袋に入れる。味付けした場合は、2ヵ月ほど冷凍保存が可能。
焼く+密閉
塩鮭は、焼いて冷凍すると便利。十分に冷ましてから1枚ずつラップに包み、冷凍用保存袋に入れる。焼いてからほぐしてフレーク状で冷凍するのもおすすめ。お弁当や常備菜にすぐ使える。


「生」と表示がある新鮮な魚は冷凍もOK。下処理と保存の工夫でおいしく、使いやすく!

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一尾魚を買うときは、目が澄んでいて、皮につやと張りのあるものを選びましょう。一尾魚の冷蔵の目安は、購入当日を含む2日間。冷凍の保存期間は約3週間です。いずれも、下処理をしてから保存します。

下処理のしかた
頭や内蔵を取り除き、流水でよく洗う。お腹の中までていねいに水けを拭き取る。

生のまま冷蔵・冷凍する
1尾ずつラップでぴったりと包んで保存袋に入れ、空気を抜いて閉じる。冷蔵する場合はチルド室へ。
冷凍する場合は、冷凍用保存袋を使い、1尾だけなら冷蔵と同じ要領で。複数ある場合は、1尾ずつラップで包み、金属トレーにのせて凍らせてから保存袋に入れる。

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冷凍する場合、下処理のほか、頭を切り落としたり、三枚におろしたり、食べやすい状態にしておくこともポイントです。

頭を切り落として冷凍する
水でていねいに洗って、ペーパータオルでしっかりと水けを拭き取る。1尾ずつ冷凍する際は、ラップでぴったりと包み、金属トレーにのせて凍らせてから冷凍用保存袋に入れて、二重密閉する。

調理しやすく切る
三枚におろしたものは、1尾ずつラップでぴったり包んで冷凍用保存袋に入れる。一口大に切ったものは、1切れずつ間隔をあけて冷凍用保存袋に入れる。どちらも、中の空気をしっかり抜いてから袋を閉じて、完全に凍結するまで冷凍室のトレーに寝かせて保存する。


島本 美由紀(シマモト ミユキ)
料理研究家。ラク家事ナビゲーター。 主婦や同世代の女性に向けた手軽でおいしいレシピを提案し、雑誌やテレビなど各種メディアで活躍中。料理研究だけでなく、家事全般のラク(楽しく、簡単)を追求するラク家事ナビゲーターとしても活動している。著書に『15分で1週間ラクラク ストックおかず』(グラフ社)、『1つのひき肉だねから広がる54のレシピストックだねで便利なおかず』(家の光協会)、『キムチごはん』(主婦の友社)、『時間とお金が10倍になる! 冷蔵庫お片づけ』『時間とお金がもっと増える! キッチンお片づけ』(講談社)などがある。

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『ひと目でわかる! 食品保存事典 簡単! 長持ち! 節約!』
島本 美由紀 著 1320円(税込) 講談社

生鮮食品から乾物、加工食品まで、全200アイテムの保存法を、オールカラーでわかりやすく。
すべて写真で、保存のしかたがひと目でわかります。
常備アイテムについては、そのまま何もせずに保存した場合と、適切に保存した場合の比較がひと目でわかる、「おいしく保存ラボ」を紹介。その効果が一目瞭然。
家事のアイデアでメディアに引っ張りだこの著者が、すべて実験して導き出した、本当に使える食品保存マニュアル。
これ1冊で、食材のムダがなくなり、食費も節約できます。

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構成/稲田智子


・第1回「意外と知らない夏場の食品保存のコツ①野菜編」はこちら>>
・第3回「目からウロコ!夏場の食品保存のコツ③加工食品・その他編」はこちら>>