俳優 豊原功補さん演出の舞台第二弾『またここか』がついに幕開け。

今回は人気脚本家坂元裕二さんが初の舞台作品ということで、期待も高まります。
ベテラン俳優が揃った前作の『名人長二』ともまた違い、今回はフレッシュで個性あふれるキャストが勢揃い。

加えて、「名人長二」は豊原さん自ら手がけた脚本で、今回は坂元さんから託された大切な作品。
前作と今作とでは全くパターンが違う様子。
「自分の脚本であれば、書いてる段階からある程度シミレーションできますが、誰かの書いたものは、思いがけないことが起こる。それを具現化するにあたって、ストーリーを理解し、これまでの自分のバックボーンと融合させ、そして演技をつけていく作業に入る。
作っていく過程のなかで、俳優やスタッフのアイデアが出され、一つ一つ彼らの体に染み込んできたものが現れてくるので、それを取り入れながら肉付けの作業を日々行っていきます(豊原)」
前作とまた違った難しさを感じながらも、一つ一つ丁寧に現場を作り上げている豊原さんの姿がとても印象的。

舞台の現場は厳しくも、みんなで作り上げていくその過程に面白さを感じずにはいられません。色を重ねていくことで深みと重みを帯びてくる水彩画のように、1日1日稽古を重ねるたび、物語に重厚感が増してきます。
そして今回のストーリーも坂元節健在!複雑な過去を持ち不器用に生きる登場人物やどこか悲しさを帯びつつも、狂おしいほどの愛を感じる作品です。自分の気持ちを誤魔化すかのように繰り広げられるおかしみのあるセリフが、より切なさを誘うストーリー。
坂元裕二さんならではの会話劇と個性あふれるキャストたちの演技が楽しみでならない舞台です。
東京サマーランドにほど近いガソリンスタンド。
季節は夏。
蝉の声、車の往来の音、ガソリンの匂い、地面に残る灼けたタイヤの跡。
店長の若い男と、ろくに働かないバイトの女がサービスステーションの中でまるで噛み合わない会話をしていると、中年の男が一人の女を引き連れて訪ねて来る。中年の男は小説家、女の方は看護師らしい。
「わたくし、あなたの兄、兄の者でして」
突然、異母兄弟だと名乗る中年男。二人の父親は植物状態で入院中なのだが、医療ミスの噂があり二人で病院を訴えようと持ち掛けてくる。
「よく来てくださいました」
弟は笑顔でこの兄を受け入れるのだが…。
ハンドスピナーを回し続けるバイトの女。
終始不貞腐れた態度の看護師。
落ち着かぬ様子でとにかく話を進めようとする兄。
やがて誰もが気付くのだ。
弟が、自らの恐ろしい妄想に怯えながら生きていることに。
濃密な台詞と他愛ない笑いで紡ぐ奇妙で危うい愛の物語。
「またここか 」の劇場にて2つの書籍が先行発売されます!
『脚本家 坂元裕二』

脚本家・坂元裕二さんが初めて語る半生と全作品解説。豪華出演者との対談&インタビューも入った、坂元さんファンの方には必見な1冊。「またここか」で初のタッグを組んだ豊原功補さんのインタビューと稽古場の様子なども収録。
『またここか』

坂元裕二さんの初の舞台作品となった「またここか」の戯曲本。3月に発表されたドラマ脚本休止宣言からの待望の新作です!
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