*ほぼ毎週金曜日に ショートストーリーをお贈りさせていただきます。
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「よくさあ、病気になったって言うと、『看病行こっか?』 とか 『お見舞い行こっか?』 とか言ってくる女の子っているけど、あれ、ちょっとウザいよね」


笑みをたたえながらも、ズバッと言い始めたメガネの男。

 

あまり気乗りしなかったが久々に参加した合コンだった。やはり来ないほうがよかったのではないか、と斉藤里奈はよぎる。

合コンの言いだしっぺだった加藤修を里奈は見やった。社長が来る、という言葉にも誘惑されてしまった里奈は、自己嫌悪を感じてもいた。里奈の隣に座る加藤は、グラスを片手に笑みをたたえている。里奈に気づいていない。


四十近くの独身女が合コンに行くのもどうかと思ったが、男三人、女三人という小規模。しかも、男友達の加藤から誘われたから、とくに何の期待もなく、参加した。ちなみに加藤は既婚者である。


「だってさあ、頼んでもいないのに。そういうとき、女の子って、チャンス! と思うのかなあ? なんか来たがるよね、家に。そういうとき」

 

修も、わかる、わかる、とばかりに、頷いている。

 

たしかに、気になる男が病気になり、家でふせっている、と聞けば、行ってあげようか、という気持ちになるような気はする。だが付き合いの度合いにもよるのだろうか。

もしその男人(ひと)と本当に付き合いたい、と思っていたら、確かにチャンスとおもってしまうかもしれない……。 だが、それをあからさまに「ウザい」はないように里奈は思った。

 

「部屋だって具合悪いんだからきれいなわけないじゃん? 素をさらすっていうか、見せるわけじゃない? だから基本的に僕は断るんだけどさ、どうしても来ようとする子っているよね。なんだろあれ」