どんな仕事に就いている人でも、同じ環境に身を置いていると行き詰まりを感じることがあるものですが、小西さんからはそんな気配が感じられません。自分が興味を持ったこと、やってみたいと思ったことには、まずは飛び込んでみる。それは音楽活動を始めた時にも同じだったといいます。

 

私が歌ったら周りはどう思うんだろうとは考えない


小西:私が歌を歌ったら周りの人はどう思うんだろう? みたいなことはあまり考えないんですよね。動き出した後のことを考える前に、気づいたら始めちゃっていました(笑)。怖がりなのは自分で理解しているから、新しいことをやる時にリスクについて考える時間が長ければ長いほど、ネガティブになったり、不安になったりすることはわかっているんです。それでチャレンジしない選択をしたら、振り返った時に何でやらなかったんだろうって後悔することになる。私の中では挑戦して失敗することより、挑戦しない後悔の方が残ってしまうこともわかっているので、考える前にやっちゃえ! ってところは結構あるかもしれないですね(笑)。

 


怖がる気持ちも推進力に変えて、自分の中に芽生えた好奇心に忠実に新しい自分を開拓してきた小西さん。けれども20代の頃には趣味と呼べるものはなかったと振り返ります。

小西:その当時、今は仕事を頑張る時期だと思っていたのですが、インタビューの時に「休みの日は何をしているんですか?」と聞かれるといつも困っていました。寝るか、セリフを覚えるか、だけでしたから。このままアウトプットばかりしていたら空っぽの人間になって、自分が自分のことをつまらなく感じそうだな、何か趣味がほしいなと思っていました。その後、30代でバレエ、40代でピアノを始めたので、探していればいつか出会えるものなんですね。1、2ケ月のスパンで考えると答えが出なくてがっかりしちゃうこともあると思うんです。やっぱり見つからなかった、出会いがなかった、って。でも物事を10年単位くらいで考えると、気持ちが楽になるような気がします。ざくっと大きいことをいきなりもらおうとしたら無理だけど、どんなに小さなことでも自分が好きだなと思ったことをぎゅっと大事にして、心のどこかに持ったまま過ごしてみる。それを続けていると、出会った時にこれだ! ってわかるんじゃないかな、って。ココアが好き! って思っていたらココア職人と出会ったときに、私、カカオをとりに行ってみようかしら? なんて発想になるかもしれないじゃないですか(笑)。小さな感動の積み重ねをなくさないことが大事なのかな、と感じています。

そして小西さんが大切にしているのは、大変なことも含めて楽しむ精神。

小西:例えば旅行の手配もレートを調べてチケットやホテルを予約して……、って全部面倒だけど、それも含めての旅だなと思うと楽しめる。仕事も大変と思えば全部大変になるから、難題がきた時こそ「よしきた、面白い! 楽しそう!」ってあえて言葉にするようにしています。いい意味で脳を騙す、みたいな感覚ですね(笑)。
 

若く見えることについて思うこと


ずっと変わらぬフレッシュな印象を生み出しているのは「睡眠をちゃんととって運動をする」という基本を大事にしたライフスタイル。40代の今、実年齢よりも若く見られることに対しては、どのように感じているのでしょうか。

小西:ありがとうございます! みたいな気分です(笑)。大人っぽくならないってともするとマイナスに受け止めてしまいそうになることもあるけど、みなさんの声を聞いて、いいことだと捉えていいんだと思ったんですよね。勇気と元気をいただいて、より自分を愛せるようになったからすごくありがたいな、って。でも私だって早朝のドラマ撮影の時とか、アンニュイな雰囲気を出すこともあるんですよ。結局自分から話しちゃって、みんなに笑われちゃうんですけど(笑)。あとはお腹が空くとわかりやすくパワーダウンします。眠さと空腹に弱いって、結局、子供みたいですよね(笑)」

年齢を重ねるごとに「どんどん自由になってきた実感があります」と語ってくれた小西さん。仕事も趣味も楽しむ多幸感あふれる彼女にとって、人生における恋愛の位置付けも気になるところ。

小西:昔から、恋愛に積極的な人がうらやましいんです。自分から相手を探しに行けるということは、タイプがはっきりしているということですよね? でも私は自分の好きな男性のタイプがいまだにわからないまま。もちろん、ときめきはあった方がいいです! だけど恋愛がないからときめきもないというタイプじゃないんですよねぇ。朝焼けが素敵、みたいなことでもときめきを感じるから単純なのかもしれないですね(笑)。私はひとりで生きていくって決めているわけでもないけど、プライオリティが高いわけでもない。恋愛は流れやタイミングかな、と思っています。

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小西真奈美さん
ニューアルバム『Cure』11/25 発売!

 

小西真奈美
『Cure』
11月25日発売
ユニバーサルミュージック
初回限定版3500円 通常盤2800円

全曲の作詞作曲を手掛けた 2018年のメジャー第一弾アルバム『Here We Go』で、完璧なラップを披露し話題になった女優の小西真奈美。2年ぶりにリリースされるこちらのアルバムは「等身大の大人のポップ・アルバム」をテーマに、亀田誠治、後藤正文、堀込高樹、Kan Sano という4名のプロデューサーを迎えた意欲作。「音楽は、勇気であり、背中を押してくれるものであり、ある種の治療薬である」という考えに基づき「Cure」と名付けられた本作。コロナ渦の今こそ聞きたい癒しのヴォイスに注目したい。初回限定盤には亀田誠治プロデュースの「君とはもう逢えなくても」のミュージックビデオとそのメイキングを収録。

ミュージックビデオ『君とはもう逢えなくても』

アルバム試聴はこちら>>


初の単独無観客ライブ「小西真奈美“Cure”Online Live at Blue Note Tokyo」2020年11月25日(水) 21:00より配信
※アーカイブ配信視聴期間:11/29(日) 11:59pmまで

<問い合わせ先>
ル・シャルム・ドゥ・フィーフィー・エ・ファーファー tel. 03-5774-0853

撮影/目黒智子
スタイリング/MORIYA
ヘアメイク/Rika Matsui(A.K.A.)
取材・文/細谷美香


インタビューの後編は11月24日公開予定です。

 
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