共働き家庭が増えた今、夫婦で住宅ローンを組んでいる方、または今後組もうと思っている方もいるでしょう。ところが、「夫婦でローンを組む際には大きなリスクがあることに注意です」と、住宅ローンソムリエ®として活躍しているプロ中のプロ、中村諭さんは指摘します。
例えば、その一つが万一離婚した場合です。具体的にはどういったリスクがあるのか、マネーコラムニスト西山美紀とマネー初心者の編集・片岡が、お話を伺います。

 

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【住宅ローンの見直し】60歳でも安くなるケースも「リバースモーゲージ」とは?>>

 


西山:最近は、夫婦共働きで住宅ローンを組んで家を買う方も増えているようです。何か注意点はありますでしょうか。

中村諭さん(以下敬称略):はい、共働きの場合、私がご相談にいらっしゃった方によくお伝えするのが、まず団信(団体信用生命保険)のことです。金融機関によって取り扱いが異なるのですが、「夫婦連生団信」というものがあります。フラット35には「デュエット(夫婦連生団信)」という名前でありますね。

例えば夫婦それぞれ2000万円ずつのローンを組んだ場合に、どちらかお1人がお亡くなりになった場合に、ローンは夫婦両方の分がゼロになるという保険です。

片岡:それは安心です……。でも、そういうタイプの団信でない場合は、要注意なのでしょうか。

中村:はい、夫婦共働きの場合、万一どちらか亡くなった場合、収入としては二馬力なのが一馬力になるわけですよね。2人分の年収で住宅を買ったという状況で、団信が一人分しか適用されない場合は、もう一人のローンの2000万円分は残るわけです。そう考えますと、夫婦でローンを組んで、夫婦連生団信でない場合にはリスクが高いと思っていただく必要があります。

西山:例えば、妻がフルタイムで働いていたのが、産休や育休、時短勤務やパート勤務になる場合もありますね。そういったときに、夫に何かあったときに大変です。

中村:はい、夫婦で住宅ローンを組む場合は、完済するまでの働き方や収入に変化があるかどうか、を考えたうえで決めることが大切です。

西山:夫婦連生団信ではないタイプの団信に入る場合は、万一の際に一人分のローンを返済していけるように、ローンを借り過ぎないようにしたり、貯蓄を多めにもっていたりという対策が大事ですよね。

中村:はい、念のため頭に入れておいていただきたいですね。それと、夫婦で住宅を買う場合のもう一つの大きなリスクとしては、離婚されるケースです。

片岡:コロナ禍で離婚する方、考えている方も増えていますし!

 
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