肝臓の働きとは?
山田 肝臓って、体にとってとても大事な臓器です。例えば人が薬を飲んだ時に薬を分解してくれるのは多くの場合肝臓ですね。
体の中にある不要なものを分解して体の外に出す手助けをしてくれるので、肝臓が働かなくなると体の中の毒素を分解できなくなります。そうすると、体内に毒素が溜まって意識を失ったり、体に多くの不具合を起こすのです。
碓氷 それは一大事ですよね。でもそれを防ぐとなると、まず原因がわからないとダメですよね。
山田 そうなんです。碓氷さんにはすでに、「病気の予防・対策は原因による」という認識が染み付いていますね。本当にどんな病気も原因次第です。ですが、この小児急性肝炎は、そもそも同じ原因で皆さんが体調を崩しているかどうかすら、現時点ではわかっていないのです。ですので、まずは原因を特定するところが大事なんですね。
これまでの報告によると、アデノウイルスと呼ばれる普段は胃腸炎を起こしたりするウイルスが、肝炎が報告されたお子さんのうちの7〜8割の間の方に陽性になっているということで、もしかするとこのウイルスが関連しているかもしれない、と言われています。
碓氷 またウイルスですか…。
山田 ただ、全員に検出されているわけではないこと、アデノウイルスというのは通常は健康な子どもに重い肝炎を起こすウイルスではないので主要な原因ではないという考えもあります。まだはっきりとした原因は特定できていません。食べ物や金属などが原因という可能性も含め、幅広く調べられているところですね。
碓氷 原因が確定できてない今は予防しようがない、ということでしょうか?
山田 そうなんです。今のところは症状が重くなった場合には入院をして、血液検査の経過を見ながら、食事が取れない場合には点滴をする、というような支持療法になると思います。根本的な治療というのは難しいので、体調が悪いところを支え、基本的には様子を見守る、ということになります。
碓氷 生活者としては、原因を特定する前にかかってしまったら大変だな、と思ってしまいます。
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