設計の「変更コストが膨大」なこともネックに

 

――2〜3歳しか違わないのに、なぜ第二新卒/既卒になった途端、企業は採用したがらないのでしょうか。

長らく日本社会では「新卒一括採用」が一般的だったことから、「若手人材=新卒」という認識が根強くあります。そのため、「第二新卒/既卒=新卒よりも劣る採用対象」となってしまったと考えられます。「新卒で就職していない=悪」「短期離職=悪」という印象が強いので、「新卒で就職していない既卒」「3年以内の短期離職者である第二新卒」の印象が悪くなってしまっています。新卒/既卒/第二新卒を比べてしまうと、結局「新人・若手」として採用するのなら、新卒が優先される現状があるといえます。

 

――平成22年には政府が「3年以内の既卒者は新卒枠で応募受付」するよう主要経済団体に要請(※)しました。これに伴い第二新卒/既卒を新卒として採用するという動きが増えつつあるようですが、実際のところ新卒同様に就活できるのでしょうか。
※参考資料:厚生労働省「青少年雇用機会確保指針」

政府の要請によって応募条件は緩和されたように思います。ただし、第二新卒/既卒でも新卒扱いで採用している人数は少なく、ほとんどの企業は「純粋な新卒で9割ほど採用し、第二新卒/既卒は1割程度採用している」のが現状ではないでしょうか。そのぐらい第二新卒/既卒が採用されることは稀で、採用されている第二新卒/既卒の人材はいわゆる優秀層に限られていると感じます。

――なぜ日本の企業は「新卒一括採用」にこだわるのでしょうか。

単純にずっとその仕組みでやってきたので、その仕組みを変えるための制度的・心理的なハードルが高いことが理由だと思います。採用や評価、配属といった人事制度も「新卒一括採用」「年功序列」のもと設計されており、変更コストが膨大となっています。「成功パターン」も示されていないため、各社様子見をしている状況もあります。また、過去の経済成長期の成功体験を引きずっており、「新卒一括採用システムによってうまくいっていた」という印象も強いのではないでしょうか。