鳥インフルエンザはどんな病気? 人にも感染するの?【医師の解説】


山田:鳥インフルエンザは、人で流行するインフルエンザとは、ウイルスの表面についているタンパク質の種類が異なるものです。非常に病原性が高く、万が一人に感染した場合、致死率が高いことでも知られています。この先、変異を繰り返していく中で、病原性が高く人にも感染が広がりやすいウイルスが誕生しないとも言えません。そうなればコロナのパンデミック以上の脅威となる可能性もありますので、懸念されているのです。

ただ、人への感染は、感染した鳥への濃厚接触者に報告されているものの、人から人へ次々と感染が広がっていく、というケースは今のところ見られていません。このため、現時点で過度に心配する必要はないでしょう。

動物と人は、ある程度、病原体を共有しています。さらに、人口増加や温暖化などを背景として、動物と人間の住む区域、環境が近づいています。住環境が近づくということは、接点が増えるということですよね。病原体をより共有しやすくなっている状況で、動物が持つリスクを人が共有しやすくなり、パンデミックが起こる可能性は高まっていると一般的には考えられています。

 

編集:鳥インフルエンザがニュースになる理由がわかりました。今の時点では、コロナやインフルエンザの本格的な流行に備え、基本的な感染対策をきちんと行いたいと思います。

山田:そうですね。インフルエンザワクチンは、コロナワクチンとの同時接種もできますし、ぜひ基本の感染対策とセットで考えていただきたいです。

編集:飛沫感染と接触感染を防ぐことで、コロナとインフルエンザ、両方の予防に有効なのですよね。

山田:おっしゃる通りです。2m以内での会話や咳などで広がる飛沫感染にはマスクが有効です。ウイルスが付着した場所を触った手で鼻や口に触れて起こる接触感染予防には手指消毒が有効です。

これらの基本的な感染対策が行われてきたコロナのパンデミック中は、インフルエンザの流行は起こりませんでしたよね。ですから、逆に言えば、パンデミックの間に行っていた感染対策がしっかりできていれば、インフルエンザはそんなに怖い脅威ではない、とも考えられますよね。

編集:コロナのパンデミック中に身につけた感染対策を、この冬は徹底したいと思います。ありがとうございました!
 

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構成/新里百合子
 

 


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