ステロイド過剰摂取の恐ろしさ。私たちが知っておくべきこと。


山田:つまり、たとえばある日突然そのお茶を飲むのをやめた途端、その方の体から、ステロイドがなくなってしまうことになります。

また、ステロイドが混入されたお茶を2~3杯飲む、つまり飲む量が多くなってしまうと、自分で作るよりも多い量のステロイドを飲んでいる、ということになり、ステロイドの効果が過剰にもたらされることになるのです。

編集:いろいろと恐ろしいですね。

 

山田:もちろん、副腎は時間が経てばステロイドの生産をまた始めるのですが、タイムラグがありますよね。その間、血糖値や血圧の維持をしてくれていたものが急になくなると、血圧がストンと下がってしまったり、血糖値が下がってしまう、場合によっては命に関わることもあります。

編集:そんな危険性があるお茶が販売されていたこと自体が怖いですが、友人や知人に勧められたら、買ってしまっていたかもしれません。効果を感じられた方も多かったようですね。

山田:ステロイド自体は優れた薬ですので、お茶を飲んで花粉症やアトピーの症状、目のアレルギーが良くなる可能性はもちろんあります。ただ、長期でみた場合、副作用のリスクが高いのです。量が過剰な場合、様々な問題を引き起こすことが知られています。白内障や緑内障、筋肉を弱くする、血糖値や血圧の問題、感染症に弱くなる……。ステロイドは、病気で本当に必要な時に、医師の慎重な管理下のもと処方されるべきです。

編集:市販の健康食品は、効果などに惹かれて購入する前に、しっかりと考えたいと思います。

山田:そうですね。薬にとって代わるような効果が謳われている商品は、購入する前に一度立ち止まって考える必要がある、という学びを教えてくれる一件だったのではないでしょうか。

編集:はい。今日は、ステロイドの役割についても、あらためて学ぶことができました。ありがとうございました!
 

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構成/新里百合子
 

 


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