日本発のバッグブランド「SCUE (スキュー)」にミモレストアが別注した黒のトートバッグ。ミモレ編集部でも、編集長の川良をはじめ、店長のミカヅキなどPC必須の大荷物派が普段使いしています。「軽いのにスタイリッシュでとにかく便利」というその魅力をぜひみなさまにお伝えしたい! とのラブコールが実り、今回コラボレーションをさせていただくことに。本日はデザイナーの花城美由紀さんに、ブランド設立時からアイデアを練って作り込んだというトートバッグの誕生の裏側など、気になるお話を伺いました。

ブランドを立ち上げ、最初に作ったのが「トートバッグ」でした

花城美由紀さん/バッグブランド「SCUE(スキュー)」デザイナー。バッグデザイナーとして企業に勤めた後、2019年に自身のブランド「SCUE(スキュー)」を設立。ご自身もミモレ世代。


元々アパレルメーカーのバッグデザイナーとして働いていた花城さん。さまざまなブランドのバッグをデザインするなか、当時求められるデザインに疑問を持つこともあったそう。

「バッグデザイナーとして企業で働いていた頃は、トレンドを追ったデザインや、日々登場する他のバッグと差別化するために、色々なディテールをプラスすることを求められることが多かったんです。世代が若い女性向けということもあったのですが、個人的に『このディテールは、なくてもよいのでは……?』と思うこともあったりしました。私自身、年齢を重ねるうちに、自分を含めた大人世代に向けたシンプルなデザインのバッグを、とことんこだわって作りたい、という想いが出てきて、2019年にブランドをスタートしました。

ブランドを始めて最初に作ったのがトートバッグです。誰でも持ちやすくて親しみがあり、仕事など幅広いTPOで使い勝手の良いバッグ……と考えた時に『トートバッグを作りたい』と思ったんです。市場には既にいろいろなトートバッグがありますが、ハイブランド以外でシンプルなバッグを探すと、ちょうどいいものが見つからない、という個人的な悩みもありました。定番だけになかなか難しい挑戦でしたが、“機能的でシンプルなバッグ”をまずは作ってみよう、と手掛けたのが、このバッグのベースなんです」

誰もが使いやすい、“軽さ”と“機能美”を追求

独特な縦長フォルムは、A4のものを取り出しやすく、かつ横幅は広すぎず、女性の腰幅におさまるサイズに(座って膝の上にバッグを置いたときもスマート!)。さらに、持ち手の位置を少し外側につけることで、丸みのあるフォルムに仕上げ、女性らしい柔らかさも演出しています。【ミモレ別注】SCUEトートバッグ¥28600/mi-mollet STORE

花城さんが作りたかったのは、余計なものをなるべくそぎ落とした“究極にシンプルなトートバッグ”。見た目の美しさに加え、バッグとしての使いやすさも両立させるために、何より一番にこだわったのは“軽さ”だったそう。


「大人の女性のライフスタイルに合うよう、機能面をまず考えて、そこから見た目の美しさにつながるようデザインを考えました。私も35歳を超えてからは重たいバッグが持てなくなってきたので、“素材の軽さ”はまず最優先に。本革は元々重いし、さらに裏地を付ける必要があるので、軽さは追求できない。また、水に濡れるとシミになったりとお手入れも大変。かといってナイロン素材は軽いけれど、見た目がカジュアルすぎる……。試行錯誤するうちたどり着いたのが、軽くて上質な日本製の人工皮革でした」(花城さん)


人工皮革は天然皮革の構造を模して作られた素材。素材の風合いも本革のような高級感があります。花城さんが選んだのは、日本製の高級車のシートなどにも使われる非常に丈夫な素材なのだそう。

「まずは軽さが優先だったのですが、この素材は本革と違って裏面も色落ちしせず、さらに非常に強度があるため、1枚仕立てで仕上げることができました。そのため、“約300g”とこのバッグのサイズでは驚くほど軽く仕上げることができました。水にも強いので雨の日などでもラフに扱えるのも魅力です。金具などもいっさい使わず、ミニマルでそぎ落とした理想のデザインになったと思います」

「大人の女性の毎日に使いやすく」その想いをデザインに詰め込んで

試行錯誤を繰り返し、半年ほどかけてデザインを完成させたというトートバッグ。花城さん自筆のデザイン画には、同世代の女性が使いやすく、美しく持てるよう計算された細やかなディテールが。

「黒のトートバッグってどこかメンズっぽいというか、硬い印象になりがちですよね。でも、女性がバッグを持ったときの、佇まいの美しさも大切だと思うんです。そこで、優しさや上品さが表現できる、柔らかい素材を選びました。ラフに持ってもいつものファッションになじみ、持ったときのシルエットがきれいに見える、この素材とデザインがうまくマッチしたと思います。

また、人工皮革は水が中に浸透しない素材なので、お手入れが簡単なのもおすすめできると思いました。濡れたら軽く拭く程度でOKですし、底の四隅が汚れてきたら、水拭きもしくは中性洗剤を薄めたもので落とせるので、毎日気軽に使っていただけるのも良い点ですね」

PC2台入れても、底が沈まない!
軽くてもタフな作りの秘密とは?

ノートPCとiPadの2台。かなりの重量感ですが、バッグの中に入れてみると……
底が沈むことなく、形状はほぼ変わらず!

一般的に、底板を入れていないトートバッグだと、重いものを入れると真ん中が沈んで“底落ち”してしまうのですが、スキューのトートは底のレザーを1回織り込んで重ねることで、変形しにくいタフな作りにしているそう。軽いバッグですが、荷物を入れたときのことも考えられた、細やかなこだわりを感じます。

スッキリ見えて持ちやすい、華奢な持ち手にもこだわりが

持ち手の付け根部分は、バッグ本体の縫い代を挟み込んで縫うことで、負荷がかかりやすい縫製部分の補強をしつつ、表から見たときはスッキリ見えるデザインに。

「持ち手も余裕のある長さがこなれて見えるかなと思い、一般的なトートよりもやや長めに設定しています」と花城さん。肩に掛けたまま荷物を取り出しやすいのもうれしい点です。また持ち手の幅は約1.2㎜と、華奢でありながら肩に食い込まない絶妙な細さに。持ち手が太いとカジュアル感が強くなりますが、持ったときにも洗練されて見えます。持ち手ひとつとっても、実用性と見た目の美しさを兼ね備えたディテールが散りばめられています。


iPadや手帳、細々した小物を入れるワイドポケットを別注!

今回のコラボトートには、iPadや手帳、タオルハンカチ等が入れられるワイドポケットを追加で別注しました。ポケット幅はミリ単位で何度も調整をかさね、PCを入れてもすっきり見えるおさまりのいいサイズに。表側からは縫い目が出ないようにすることで、見た目のミニマルさは変わらずキープされています。
花城さんによる、ミモレ別注バッグのスケッチ画。

大容量のバッグに大きな収納ポケットがついたことで、細かいものの収納にも便利になりました。「とにかく軽くてシンプルなので、お仕事にもデイリーにも、TPOを問わず持っていただけるバッグだと思います。私も仕事用で毎日のように愛用していて、仕事帰りに買い物したものをここに入れたり、大容量ですごく重宝しています」(花城さん)。畳んで収納できるので、スーツケースに入れて旅先に持って行くことも可能です。もちろん1泊2日くらいなら旅行にも便利。


機能面と美しさ、どちらもこだわり抜かれた大人の大人の女性のためのトートバッグ。仕事も休日も、きれいめなコーディネートからカジュアルまで、幅広く活躍してくれます。期間限定での発売になりますので、気になった方はぜひチェックしてくださいね。


撮影/Haku Kim
取材・文/出原杏子