②ショートステイなども活用して自分の時間を確保


在宅介護でずっと一緒にいると、24時間気が抜けません。介護者も自由になれる時間が必要です。子育てと同じように、たとえ短時間でも介護から離れる時間があればリフレッシュできます。私が仕事を辞めなかったのは、子としての責任も保ちつつ、どっぷり介護からの逃げ道でもあったのです。時にはショートステイも利用しつつ、プライベートの趣味を続ける時間も確保していました。仕事がそうであるように、介護も最低でも週に2日くらいは休息を取れることが理想です。

ショートステイは、自宅での介護が難しくなった一定期間、親を老人ホームや介護施設に預けられるサービスで、最短1泊から、最大30日間連続で利用可能です。預け先では主に食事や入浴などの介護サービスを受けられ、介護保険を適用すれば自己負担額は1〜3割。料金は部屋のタイプや施設によって異なりますが、自己負担1割の場合、1泊2日で3000~8000円程度が相場です(介護保険適用外の食費や滞在費も含む)。

ただし、介護保険制度を利用できるショートステイは人気が高く、受け入れ先が少ないこともあって1〜2ヵ月先まで予約が埋まっていることも。その場合、一部の有料老人ホームやサ高住が行っている介護保険適用外のショートステイを利用するという方法もあります。費用は1泊1~1.5万円ほどかかる場合もありますが、比較的空室があるため確保しやすくなっています。また、日中利用しているデイサービスにそのまま宿泊できるお泊まりデイというものもあり、こちらは介護保険適用外ですが、1泊平均5000円ほどで有料ショートステイよりリーズナブルです。

なお、自宅で介護をする際は、ショートステイまでいかずとも、ホームヘルパーや看護師、理学療法士に自宅に来てもらう「訪問介護・看護サービス」、デイサービスやデイケアなどに通う「通所介護サービス」が利用できます。デイサービスには、リハビリ特化型や認知症対応型、医療的ケアが必要な方を対象とした療養型デイサービスなどさまざまなタイプがあり、送迎もしてくれます。主に事業所から片道30分前後に住んでいる方が対象で、遠方からの通いは想定していません。

利用する施設はケアマネジャーが提案してくれますが、介護が始まる前から地域にどのような事業所があるか目星をつけておきたければ、「介護サービス情報公表システム」で検索することも可能です。

在宅介護の1日の流れがイメージがしすいように、私が在宅介護をしていた時の大まかなスケジュールもご紹介しておきます。

10年在宅介護経験者が語る「介護のコレが大変!」その負担を軽減させる3つのポイント_img0
 


③介護スキルを身につけてスムーズに
 

在宅介護をするのであれば、介護スキルがあるとスムーズです。移動介助や排泄介助は身体的な負担が大きいので、介護スキルがあると負担も少なく介助できます。介護教室に参加したり、余裕があれば初任者研修に参加してみることをおすすめします。

介護は心身共に負担を感じるものです。少しでも困ったことが出てきたら、地域包括支援センターなど身近な相談機関に相談してみてください。また、介護者もストレスや負担をためないよう、積極的に離れることも意識してください。

そして最後に1つ。これはよく言われることですが、介護する人が幸せでなければ介護される人も幸せにはなれません。弱った親を前にするとついそのことを忘れがちになるかもしれませんが、ご自身が倒れてしまったら元も子もないということを頭に置いて、介護と向き合うことを心掛けてください。

 

構成/渋澤和世
取材・文/井手朋子
イラスト/Sumi
編集/佐野倫子

 

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