その技術を、本にしたのはなぜですか?


さて、ここで実際に「技術書典16」に参加していた方の生の声を聞いてみましょう。

「小学校で実施したプログラムを、もっともっと広めたい」
——ビジョンデザイナーの三澤直加さん(サークル名:ノート学)

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グラフィックレコーディングの技術を活用した「ノートの使い方」と、小学校で実施した教育プログラムへの取り組みを紹介する『ノート学』。創造的人材育成の専門家、デザイナーの方たちが参加しています。

「この本は、2018年から新宿の公立小学校で行っていた『ノート学』という教育プログラムについてまとめたものです。『ノート学』は、生徒たちが多数決じゃなく、一人ひとりがもっと自由に意見を言える環境を作るための取り組みで、一人の校長先生の呼びかけから始まりました。

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「ノート学」プロジェクトのメンバーのみなさんで出展!

私たちは普段、別々の場所で活動していますが、プライベートの時間を使って6年間にわたって一緒に授業を作ってきました。一つの現場だけで終わらせずに、もっと多くの人にこの知識を広められたらと思い、サークルメンバー8名でこの本を共著として作ることにしたんです」

 


「大変だった薬局開設の苦労を、議事録的に残したかった」
——薬剤師の⽚⼭陸さん(サークル名:薬局ガレリア)

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『薬局をつくろう ~全年齢対応版~』は、薬局をつくるときに必要な物件選定、行政手続き、借り入れ、環境構築を1冊にまとめたもので、「これから薬局をつくりたい」人の参考になる専門的な内容!⽚⼭さんが手にしているのは、キッザニアのような職業体験(調剤薬局)を自社で運営したときの知見をまとめた『職業体験運営ハンドブック〜こども薬剤師編〜』

「私は薬局を営んでいる薬剤師なのですが、本の制作は仕事の合間を利用して、1日に1時間ほど充てて作業しています。『薬局をつくろう ~全年齢対応版~』は、実際に自分が薬局を開設したときのことを解説したもの。本にした理由は、行政手続き含め非常に煩雑だったので、議事録的に残そうというのが一つ。あとは、単純に“薬局が開設するまで”の本があったら自分が読んでみたいと思ったからです。技術書典には4年ほど出展していますが、基本的に“まだ世の中になさそうなもの”“まずは自分が読みたいと思うもの”をテーマに執筆しています。描きたい絵があり、純度の高い内容を発信したい場合には、同人誌という媒体はとてもいいんです」


「自作した“浮かせる収納”の作り方をシェア。技術は独り占めしない」
——フリーランスエンジニア・AKIさん(サークル名:Atelier Beta)

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新刊『高速3Dプリンターで浮かせる収納用品を自作してみた話』では、高速印刷が可能な3Dプリンター「AnkerMake M5」を使って、自宅の「浮かせる収納」を作成した事例を紹介。写真左がAKIさん。ご友人も売り子の助っ人に!

この本のアイデアの発端は、私自身の引越しなんです。新居はきれいに使いたいなと思っていたとき、“浮かせる収納”なら掃除しやすいという情報を目にしました。その後、ちょうど新しい3Dプリンターに買い替える機会があり、じゃあ浮かせる収納を自分で作って、色々試した結果を本にしようと思いついた。普段はIT系エンジニアなので、立体物の設計や3Dプリンターで造形物を作るのはあくまで趣味です。

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本の中で作り方を紹介している、3Dプリンターで作った「浮かせる収納」も展示。

こうして本にしてまで発信するのは、自分が得た知見は出し惜しみせずに伝えていきたいからなんです。IT系の業界では、得た知識をどんどん発表する文化がある。作ったソースコードを公開して、みんなに使ってもらうオープンソースソフトウエアがその典型です。技術は独り占めしたり隠したりせず、広く共有することで技術自体も活性化する。ソフトウエア技術者として育ったそんなオープンな土壌も、この本につながっているかもしれません」