なぜ「若見え」しなくていいんですか…?

「私は特に若見えしたいわけじゃないんですよね。年齢相応でいいの」

会話の流れは、骨格診断の企画のモデルに松崎さんが登場した記事のタイトルに「若見え」という言葉が使われたことに、松崎さんがちょっとした違和感を持った、みたいな発言でしたが、私は画面越しに衝撃を受けました。

というのも、松崎さんのその口ぶりが、明らかに正真正銘の本心だったから。強がりとか嫌味とかそういうものは一切含まない、自然体の一言。松崎さんは、本当に微塵も「若見えしたい」と思っていないのがありありと伝わるのです。

なぜ「若見え」しなくていいの...?「おばさん」になりたくない39歳の私が、50代の先輩に感じたコンプレックス_img0
 

ちなみに松崎さんは50代の、まさに落ち着きと知性、包容力を醸し出している女性。そして、その本心からの「特に若見えしたくない」と発したその様子が、シンプルにとても素敵だった。絶賛アンチエイジング奮闘中の私にとっては、少し戸惑ってしまうほど。

私にはとてもこのセリフをあんなふうに発することはできない。一体なぜ、この一言をこれほど素敵に響かせることができる……?!

と、心の中で首を捻っていたら、今度は川良編集長がさらに追い討ちを描けるように、淀みの一切ない笑顔と優雅な声でこう言ったんです。

 

「たしかに、そうですよね。それなりに綺麗にはしたいけど、『若見えしたい』はちょっと違うかも。そう考えると、実際若見えしたい人っているのかな?」と。

あれがオンライン会議でよかった。あの瞬間、私、自分が急激にものすごく恥ずかしくなり、対面だったら少し様子がおかしな人になっていたかもしれません。超若見えしたい、100日後に40歳になってしまうと焦ってジタバタしている女がここにいる。

お二人のあの神々しいまでに余裕のある自然体と、焦って余裕のない私の差は、一体なんなのか?

恥ずかしいなら音声オフのまま黙っていればいいんですが、でもその場は女性誌媒体の編集会議。この気持ちをシェアせずにいるのは編集者・ライターとしてNGだと思い、「あの……実は私は、すごく若見えしたいんですが……」と恥を忍んで色々と告白しました。

なぜ「若見え」しなくていいの...?「おばさん」になりたくない39歳の私が、50代の先輩に感じたコンプレックス_img1
 

マイナス5歳見えしたくて流行のシースルーバングを美容師さんにお願いしたし、小顔に見えるもみあげも作って毎日コテでいい感じになるよう巻いている。エステ課金はここ1年で5倍以上に増加。必死に時間を捻出してパーソナルトレーニングやヨガに行くし、自転車をなるべく封印して歩いたり。食事制限もするし、最近取材したカラー診断の「ブルベ夏」の結果も忠実に守り、少しでも盛れるよう頑張っている。

でも、結局私がジタバタしているのは外見のことばかり。

川良編集長は微笑みながら「そんな山本さんが愛しいと思う」と優しいコメントをくれましたが、よくよく考えると、私が理想とするのはキリキリと若見えにストイックになる40代よりも、むしろ「特に若見えなんて気にしていない」優雅さと余裕のある40代。

なのに今私がやっていることは前者……という矛盾に気づいてしまったのですが、ではどうすれば後者になれるのか、まだ結論は出ていません。

おそらく外見よりも内面の問題かと思いつつも、一応色々と努力はしているわけだし、きっと存分にジタバタした先に辿り着ける境地がある……という希望を込めて、残り少ない39歳の日々で思うことを書き残させてもらおうと思います。

ただ、40歳までの100日カウントダウンを始めたことにより、残り少ない30代の1日1日が、大事に愛しく思えるようになりました。

あと100日、40歳の私へうまくバトンを渡せるよう、いつもより少し日々を大切に、丁寧に生きてみようと思っています。

文/山本理沙
漫画/小澤サチエ
 
 
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