【質問3】かゆみが病気と関係することもあるのでしょうか?


冬に限定したかゆみの場合には、多くが皮膚の乾燥によるものであり、皮膚が乾燥しているだけであれば、病気との関係はあまり考えなくて良いと思います。

一方で、季節にも乾燥にも関係なくかゆみが続いていたり、皮膚に発疹などが見られたりする場合には、病気と関連している可能性を考えなくてはなりません。

これは外見で区別がつきやすいですが、皮膚に赤みや発疹が出ている場合には、皮膚の疾患、あるいは皮膚に症状を出す全身疾患が原因の可能性があります。まずは皮膚科での診察が必要です。

また、かゆみを伝える神経は皮膚への刺激を引き金として、かゆみの感覚を脳まで伝達します。この神経に何らかの異常信号が入ると、皮膚に問題がなくても痒いと感じることになります。

このため、神経や肝臓の病気、腎臓の病気などで、その神経に異常信号が入ってしまうことで、かゆみが起きうることが知られています。この場合には皮膚のサインだけではなく、肝臓の病気ならば皮膚の黄色味が増える、腎臓ならばむくみが出るなど、そのほかの体の症状を伴います。慢性的な持病を持つ方や、皮膚以外の症状もあるという方の場合には、全身の病気が原因のかゆみということも可能性として考えられます。

 


【質問4】かゆいとなぜ引っ掻いてしまうのでしょうか?


かゆみの感覚を伝達する神経繊維としてC繊維というものが知られています(参考2)。これは、痛みを伝える神経とは異なる伝達経路です。

例えば、皮膚の乾燥やアレルギー反応などが起こると、このC繊維を信号が伝わり、脳にかゆいという感覚を伝えることになります。

一方、かゆいところを引っ掻くと、かゆみを伝えるC繊維に対して抑制的に働く神経に刺激が入ることが知られています(参考3)。これによって、C繊維の働きが抑えられ、かゆみが一時的におさまります。

また、引っ掻くことで同時に痛みを伝える神経も刺激することになります。これによって、痛みを感じさせることで代わりにかゆみを軽く感じさせる意味合いがあるとも考えられています。これは、「かゆいところをつねる派」が一定数いらっしゃることにも見てとれるでしょう。

しかし、引っ掻いたりつねったりといった痛み刺激がおさまった後は、原因が解除されていなければ、かゆみは残念ながら元通りです。また、ひっかくことで皮膚のただれや炎症が悪くなり、かゆみの原因自体を悪化させてしまうことも懸念されます。

このように、ひっかく行為はかゆみに即効性はあるものの、少し長い目で見ると事態を悪化させるので、避けなければなりません。
 

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