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三谷幸喜さん、私を舞台の世界に引き込んでくれたのはなぜですか?【青木さやか対談】

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自分に100点満点を出せないから
より良い未来のために頑張れる


青木:ちなみに三谷さんは、「ああ、もうできない! 怖い!」みたいな状態に陥ることはあるのでしょうか。私は自己肯定感が低いので、ぜひお聞きしたいです。

三谷:「もうできない!」とはならないかもしれませんが、僕も自己肯定感は決して高くないですよ。むしろ低い方かもしれない。だから、完成した作品に対しても自己評価は低いんです。そもそも、ものづくりしている人って、自分の作品に100点満点の判を押すような、自己肯定感が振り切れている人ってあまりいないような気がする。だからこそ、こうすれば良くなるかもしれない、また頑張ろうって、次の作品づくりにつなげていけるのかなと思ったりします。

青木:自分に100点満点を出せないことも、長年走り続けられるモチベーションの一つということなんでしょうか。

三谷:もっとできるはずだという思いは常にありますね。次はもっといいものを作ってみせるという思いは、確かに原動力になる。ただね、僕の場合は映画にせよ、ミュージカルにせよ、歌舞伎にせよ、大河ドラマもそうかな、絶対に背伸びしないと決めていて、自分が書けるものしか書きません。だから、めったなことでは失敗しない。たまに、ほんのたまに冒険してみて、玉砕することもありますが、稀です。

 

三谷幸喜 Koki Mitani
1961年、東京都出身。日本大学芸術学部演劇学科在学中の1983年に、「東京サンシャインボーイズ」を結成。80年代後半から深夜枠のドラマ等で注目され、90年代より自身が脚本を手がけたテレビドラマが次々と大ヒットを記録。その後も映画、舞台、ドラマ、歌舞伎と縦横無尽の活躍で、日本を代表するヒットメイカーに。舞台『12人の優しい日本人』(90年〜)、ドラマ『古畑任三郎』(94年〜)、映画『THE有頂天ホテル』(06年)など代表作多数。

青木さやか Sayaka Aoki
1973年、愛知県出身。フリーアナウンサーとして活動、その後タレントの道へ。以降、バラエティ番組やドラマ、エッセイの執筆など幅広く活躍中。近年はYoutubeチャンネル「犬と猫とわたし達の人生の楽しみ方」などを中心に、動物の保護活動にも力を注いでいる。12月にはニール・サイモン作、三谷幸喜演出の舞台『23階の笑い』に出演。

 
<作品紹介>
舞台『23階の笑い』
ニール・サイモン・作×三谷幸喜・演出

舞台はアメリカ、1950年のテレビ業界。マンハッタンの高層ビルの23階に構えた事務所に行き交う、テレビマン、人気コメディアン、若手作家たちが織りなす人間模様を、笑いと共に描き出します。本作は、1993〜94年にかけてブロードウェイで上演されたニール・サイモンによる『23階の笑い』を、三谷幸喜さんと個性あふれるキャスト陣がどう料理するのか、2020年末を締めくくるにふさわしい、抱腹絶倒の話題作です!

作:ニール・サイモン 演出:三谷幸喜 翻訳:徐賀世子
上演時期:2020年12月5日(土)~12月27日(日) 会場:世田谷パブリックシアター (東京公演のみ)
出演:瀬戸康史 松岡茉優 吉原光夫 小手伸也 鈴木浩介 梶原善 青木さやか 山崎一 浅野和之
企画・製作:シス・カンパニー(TEL:03-5423-5906/営業時間 平日11:00~19:00)
【公式サイト】http://www.siscompany.com/23f/gai.html
【Twitter】@sis_japan
文・構成/金澤英恵
取材・構成/山崎 恵

 

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