新しい環境が自分に合っているかどうかは、すぐにはわかりません。情報不足の状態はストレスになり、「私が望んだわけじゃないのに!」と感情が爆発してしまうかも。そんな時はヘレンのような職業的ジャーナリストでなくても、レポーター気分になってみるというのは面白いアイディアではないでしょうか。

移住先の郷土料理や生活習慣について、SNSで発信してみる。
転職活動で出会った変な人たちについて、夕食の場で家族に報告する。

レポーター役になりきれば、どんなことが起きても「しめしめ、ネタになるぞ」と思えるようになります。そうしているうちに、新しいキャリアを考えるのに十分な情報が集まり、変化を受け入れる心の準備が整っていくでしょう。

 

「今の生活が幸せ」って、誰が決めたの? 現状維持バイアスをはずしてみよう


「デンマーク的幸せの正体」について精力的に取材してまわるヘレン。ロンドン時代の彼女は、激務による慢性的な体調不良に悩まされながらも、「人生ってそういうもの」と自分に言いきかせていました。しかしそれは、外の世界にどんな選択肢があるのか知らなかっただけなのかもしれません。

予算や戦略、採用に関する会議も今は私の予定表には存在しない。今はただ毎日書いている。そして奇跡的にも1月には子どもが生まれようとしている。そのことを考えることすら戸惑ってしまうけれど、もしかして、私って幸せ?今のままで?デンマーク的に暮らしているから?一『幸せってなんだっけ?』より

「今の仕事は辛いけれど、私にはほかに選択肢がない」
「ブランクのある私が、今さら外で働けるわけがない」

「現状維持バイアス(未知のものを受け入れることに抵抗を感じ、現状のままでいいと思い込むこと)」をはずすのは、簡単なことではありません。強い意志の力が必要ですし、タイミングをつかむには運も必要でしょう。「不意打ちの変化」は、タイミングが向こうからやってきたということなのかもしれません。

ヘレンは本書を書くことで、「幸せ探しプロジェクト」自体を自分のキャリアにすることに成功しました。変化を「苦行」にするのも「チャンス」にするのもあなた自身。皆さんも、レポーター気分で新しい世界をのぞいてみませんか?


文 /梅津奏
 
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