エピソードからわかる、実績・人柄・やりたいこと

 

経歴にまつわるエピソード深堀りのコツは、どんな些細なことでも思い出してみること。今回は私がお手伝いしながら、Sさんの経歴にまつわるエピソードを掘り下げていきます。会話中の太字箇所は、自分ひとりで振り返る時に語りかけのヒントにしてみてください。

 

島谷:新卒入社時は「預金係」を担当されていますが、支店への配属ですか? 何人ぐらいの規模でしたか?

Sさん:☓☓支店への配属で、20人ほどの支店でした。

島谷:お仕事で印象に残っていること、力を入れたこと、工夫したことはありますか?

Sさん:昔のことなのであまり詳しく覚えていないのですが……。新人の頃は上司や先輩との人間関係の構築と、仕事を覚えることに必死だったように思います。

島谷:窓口もやっていらっしゃったようですが、お客様対応はどうでしたか?

Sさん:もともと接客が好きでこの仕事を選んだので、お客様と話すのは楽しかったですね。お客様の年齢やキャラクターに合わせた接遇は入社当時から心がけていました。支店が異動になっても連絡してくださる方もいらっしゃったのを覚えています。とても可愛がっていただいたなと。


同じ業界への転職では、本店・支店(または本社・支社など)の情報や、規模感が判断材料のひとつになることも。細かい情報ですが、職務経歴書にも反映していきましょう。

当時の記憶を振り返っていくうちに、Sさんがどんな方かも見えてきました。もう少し詳しく伺っていきます。     

島谷:次の業務は「融資係」で個人向け住宅ローンの担当ですね。融資も人によっては難しさを感じる業務だと思いますが、Sさんの場合はどうでしたか? 

Sさん:個人的には、家を建てるという人生の大きな買い物のお手伝いをできるので、預金係よりやりがいを感じていました。

島谷:ひと月あたりの対応件数はどのくらいでしたか?

Sさん:時期にもよるのですが、繁忙期で月に20〜30件ほどでしょうか。

島谷:融資が難しいケースもあったと思いますが、その場合どうされていましたか?

Sさん:お客様の経済状況を見ることになるので、お断りすることもありました。無理をして債務を背負い、その後の生活が破綻してしまうお客様も見てきましたので……。ご融資すれば当然自分の成績アップにもつながりますが、お客様のことを第一に考えて冷静に判断するようにしていました。


これらのエピソードから、お客様に対して誠実に向き合おうとするSさんの人柄が伝わってきます。成績重視の仕事に向くタイプか、一人ひとり丁寧な接遇を心がけて仕事するタイプか、同じ融資業務でも求められる人材は異なります。

企業側のニーズと自分がやりたいことの齟齬を生まないためにも、「仕事への向き合い方」が相手にわかるエピソードを添えるといいですね。