ーー「魂の声」に耳を傾けることができる人なんですね。

傾けたいとは常に思ってます。でも、全然聞こえないときもあるんですよ。『夜、鳥たちが啼く』に入るときもそうでした。山田君も、魂の声を聞く人でした。似てるんです。急に忙しくなった境遇とか、本当に大事なものを追い求めたいところとか、泥臭さとか。2人で喋っているとき、他の人からは理解されないワードが飛び交っていたと思います(笑)。

 

ーー松本さんが『夜、鳥たちが啼く』で掴んだものとは?

それまで何年間か感じたことのなかった「幸せ!」な瞬間です。自分には子どももいないし、仕事しかなく常に自分との戦いをしていました。のんびりすることが怖かった。でも裕子という役を演じながら、演じていない瞬間も、のほほんほのぼのと「なんだか幸せ」というものを感じました。この映画は多分、生きるっていうのは無邪気さなんだよということを言っていると思うんですよね。それを伝えたいとかじゃなくて、それをこの作品で体験できたということが私に取っては重要でした。

 

ーーちなみに、2020年7月にインタビューさせてもらったときに、「韓国語の学習」「日記」「キックボクシング」を始めたとおっしゃっていました。その後、どうなりましたか?

日記は3年目に入りました。韓国語はインプットする隙間がなくて離脱していますが、喋れるようになりたいという欲は今もあります。キックボクシングはやりすぎて体を壊してしまい、できなくなってしまったんです。でも、1ヵ月前に出合いました。持続可能な運動、ピラティスに。これは見っけもんでした。心と体と脳が一致するメンタル的にもすごくいい運動で、ただがむしゃらに頑張るフェーズから抜け出せました。たとえば、痩せるためにハードな運動をするときってつらいじゃないですか。でも、ピラティスはやっている間も本当に楽しくて、楽しい時間を積み重ねていくと、結果として素晴らしい脳と体が出来上がる。自分の良い状態を作ったその先に、全てのいい出会いがあると思います。