モラハラ夫が急に機嫌が良くなった理由とは?


3人の生活が始まりました。なんと圭佑さんのモラハラ言動が減ったのです。理由は、涼子さんが家にいる間、夫を立てる言葉を過剰なほどにかけ続け、さらに仕事を減らしたこと。WEBデザイナーの勉強は、圭佑さんと子どもが寝てから取り組んだので、圭佑さんの目に妻が反省して家に収まっている、と映ったようでした。しかし、だからといって家賃は出すものの、生活費はほとんど出さず、涼子さんは雑貨店のアルバイトのお金で必死にやりくりしていたと言います。

関係を良くしたいという思いから、無理をしてしまう涼子さん。しかし、束の間の小康状態も、ひとつの事件で均衡が崩れます。

無造作にダイニングに置かれていた圭佑さんのスマートフォン。涼子さんは、親密な関係を伺わせる女性からのメッセージを見てしまいます。

 

「夫を立てて、再構築のために必死で頑張っていたのに、まだ浮気相手と続いている。そのことがわかって、力が抜け、無気力になってしまいます。夫に媚びる言葉も減っていました。すると夫のモラハラも再開。『メンタルが安定しない母親なんて不幸の元凶だ』と言われ、痛いところを衝かれて泣くばかり。……それでも、子どもために強くならないといけない。別れよう。離婚して、一人でこの子を育てよう。健やかな毎日を手に入れよう。そう決意しました」 

 

涼子さんは、これまで心理学の勉強をして「モラハラ夫とやり直す」という方向で知識を蓄えてきましたが、離婚に関する知識はまったくありませんでした。そこでまず区が開催していた離婚を視野に入れた女性の相談会に参加。そこでは無料で弁護士などの専門家の意見を聞くことができました。現在悩んでいる方も、このような行政の仕組みやサービスを積極的に利用してほしいと思います。

「少しでも有利な条件で離婚するためには浮気の証拠を集めることが大切だとアドバイスを受けました。ただの2ショットの写真ではなく、可能であればベッドに2人でいるところ、違う日程で何度も密室に2人きりだったという証拠をできるだけ集めるようにと」

3ヵ月かけて、これらの証拠をコツコツ集めた涼子さん。圭佑さんは涼子さんのことを侮っているので、スマホの管理も甘かったといいます。そこには目を覆いたくなるような写真がいくつも入っていました。

「それをもって、弁護士を通して離婚を申し立てたんですね?」と尋ねたところ、「いいえ、弁護士は立てませんでした」と言うのです。

そこには、長年自己愛性人格障害の夫に苦しめられた妻の慧眼がありました。