まずはレシピ動画に挑戦!


いざYouTubeを立ち上げるにあたって、何を発信するかが重要。以前から、井筒さんはミモレのブログで日々の料理を紹介していて、「レシピを教えてください!」と言われることも多かったため、まずはレシピ動画を作ることにしました。

「私は料理研究家でもプロでもなく、日本にいた頃はレシピ通りに材料を揃えないと作れないくらいでした。でもパリに来て毎日作っているうちに、レシピなしで料理を作ることに慣れていきました。だから、レシピがないと作れない人の気持ちがわかるし、なるべくフライパン1個で作る、といった主婦マインドを取り入れたレシピなら、興味を持ってもらえるんじゃないかと思ったんです。

でも、コロナでYouTubeチャンネルを開設するプロの料理研究家が増えてきて、名もない主婦のレシピは厳しいものがあると思うようになって、外に出かけていく撮影も少しずつしてみることにしたんです」

 

登録者数アップの要因はVlog


そうやって始めたのが、住まいの近くにある森の散策や、カマンベール村に本場のカマンベールを買いに行く、といったVlog(動画版のブログ)。それがやがて、井筒さんの好きな店を紹介したり、蚤の市を散策したり、というようにコンテンツが充実していくようになりました。

「日本ではお店で撮影しようとすると、広報担当者に取材依頼して、というのが当たり前の流れなので、いきなり店に行って『撮影させてください』って言っても無理無理、と思っていました。でも、意外にも『いいわよ〜』とあっさりその場でOKがもらえるのはフランスならでは。

お店や蚤の市で、私が大好きなお皿を買いに行く動画をアップすると、チャンネルの登録者数も増えていき、フランスのいろんな場所やモノを紹介するようになったんです」


「GOROGORO KITCHEN」が世界中の人を惹きつける理由


「GOROGORO KITCHEN」の大きな特徴として挙げられるのが、多言語対応で、現在は24言語の字幕がついています。英語、フランス語ができるという井筒さんの本領発揮で、井筒さんが動画内の会話をまずは英語に翻訳し、それをフランス語にして、その2言語をベースに他の言語の字幕を作っているそう。

「日本語で日本人だけを対象にすると、全員が登録したとしても1億2500万人。でも、世界を相手にしたら約80億人になるわけで、チャンネル開設当初から英語の字幕はつけていました。そしたら、『スペイン語の字幕をつけて』『私の言語にも対応して』とコメントがつきはじめて、気付いたら24カ国になっていました(笑)」

でも、パリ在住の日本人夫婦が作ったコンテンツが、どうして154カ国もの人たちを惹きつけたのでしょうか?

「まずはみんなパリという街や蚤の市が好きなんだなということ。次に、ツーさんは写真のプロなので、映像や編集のクオリティが高いと思うし、紹介するお店も、私たちが本当にいいと思ったところしか取り上げないということ。あと、『Mamikoと趣味が一緒』『うちもMamikoの家の猫と似た猫を飼ってるわ』など、人は、自分と共通する部分がある人を見つけると、親しみを持って見てくれるようで、そういう人がいろんな国にいたのかな、と思っています」