芸人の影響力を社会のために使う


──寄付を始められたきっかけはなんだったんでしょうか?

河井:元々できるのであればずっとしいたいなと思っていたんです。いつか売れたときにと思っていたんですけど、いつ売れんねん! もうやったやる! と思ったのが2018年だったんです。今までたくさんの仕事をしてきて、本当にどの職場でも先輩にすごくいろんなことを教わりましたしかわいがっていただきました。そのなかのひとりで、レストランバーで働いていたときの先輩に、いきなり、「ゆずるの使命って何?」って言われたことがあったんです。めっちゃむずいなと考え込みましたね。そのとき20歳か21歳ぐらいで、芸人になる前でがっつり働いていた時だったんですけど、そのときの僕は、母親と弟の生活を安定させるためだけに生きようと思っていたので、それですかねみたいに答えました。

 

河井:当時はもう、家庭の事情を考えて、芸人になることを諦めていたんです。その先輩から、「使命って、読んで字のごとく、何に命を使うかだから、それを考えて生きなさい」って言われました。そのときは、「家族のためだけに生きる」で良かったんです。そこから5年ぐらい働いて実家にお金を入れ続けていたんですけど、弟が大学を卒業して社会人になって、実家の状況が少しマシになったんです。そのタイミングで今度は僕が体を壊しちゃって、一旦仕事を全部辞めてNSCに入る、という出来事がありました。そのときから、大げさかもしれませんが目標というか使命を変えないといけない、と思うようになりました。例えばですけど、同じ100万円というお金だとしても、普通の経営者や役員が稼いでいる100万円と、芸人である僕が稼ぐ100万円だったら、それを使って世の中に発信できることや影響力が違うなと思ったんですよね。