赤ちゃんから刷り込まれるバイアス


実は日本だけではなく、まだまだ世界中で、子どもの頃からジェンダーバイアスは色々な形で刷り込まれています。BBCが実験をした「Girl toys vs boy toys: The experiment - BBC Stories」という2017年の映像をYouTubeで見ることができます。

本当はMarnieという女の子の赤ちゃんが、男の子っぽい服を着せられてOliverという仮の名前を、本当はEdwardという男の子の赤ちゃんが、女の子っぽい服を着せられてSophieという仮の名前をつけられて、ボランティアの大人に預けられます。

シッターを任された大人たちは、車やロボット、人形やぬいぐるみなど様々なおもちゃがある部屋で、赤ちゃんたちを預かることになるのですが、女の子っぽい服を着せられているSophieに対しては、大人たちは概ねふわふわのぬいぐるみを差し出し、赤ちゃんの反応があろうがなかろうが、人形遊びに誘います。

逆に、男の子っぽい服を着ているOliverには、ロボットのようなおもちゃを差し出したり、抱き上げて車に乗せて体を動かさせたりします。「実はこの子は女の子/男の子なのですが……」と種明かしをすると、大人たちは「自分の中にバイアスがあった」と気づく、という動画です。

 

男の子は車や電車が好き、女の子はぬいぐるみやお姫様が好き。このようなイメージを持つ大人は多く、実際に、幼稚園くらいの年齢の子どもたちに好きなものを選んでねと言ったら、平均的には、男の子は車や電車、女の子はお姫様を選ぶ比率は高いかもしれません。

でも、まず第一に、生まれもった特性に性差があるとしても、ヒトの行動や脳の性差の場合、ほとんどの場合、平均値の差よりもはるかに大きな個人差があるそうです(※2)。おもちゃの好みについても、車や電車が好きな女の子も、お姫様の人形で遊びたい男の子もいて、その個人差の方が大きい可能性は高いのです。

さらに、BBCの動画からわかることは、このような平均的な差があったとしても、それは生まれ持った性差(Nature)ではなく、シッターやその他大勢の様々な大人たちからの声掛けや差し出されるものの積み重ねによって育てあげられた性差(Nurture)かもしれないということです。子ども達は、大人が思う以上に、大人が差し出すもの、大人が求めているものに敏感です。