無理せず、楽しめる範囲で。持続可能な社会のために

 

——ただ、俳優のお仕事ってすごく時間が不規則ですよね。両立も大変だと思うのですが、それ以上にメリットも大きいですか?

小林 メリットとかデメリットっていうより、「好き」に尽きるのかなって。もっと楽なことをしようと思ったら、きっとできるんです。でも、どちらも好きだからやっています。それにどんな仕事でも大変ですし、大変さが少しずつ違うだけ。だから比較はできないですし、実際に二つの場所で働けるって、すごくありがたいことですよね。

みんなが私のわがままを聞いてくれているわけだから、とても贅沢なことだなって。スケジュールを調整してくれるマネージャーさんもそうですけど、みんながいいよ、協力するからねって言ってくれなかったら、そもそも成立していないので。

——小林さんはAGRIKOの事業もそうですし、自身のキャリアや生き方の中でも“持続可能であること”を大事にしていますよね。持続可能な社会のために、もっとこうなってほしいな、と思うことはありますか?

小林 みんな「頑張りすぎ」なんじゃないかという気はします。自分もそうだったけれど、やっぱり頑張りすぎると続かない。環境にいいこともできることから始めればよくて、最初から100%を目指さなくていいと思います。

AGRIKOも、最初こそ完璧主義で頑張ろうと思ったけれど、できないことの方が多くて。悔しいときもあるけれど頑張っていれば、前には進むんです。無理せずに楽しめる範囲で、楽しめるように続けていくことが、持続可能な社会にもつながるんじゃないかなと思っています。

 
AGRIKOが運営する「AGRIKO FARM」とは?
「AGRIKO FARM」は、屋上で収穫された野菜や魚をビル内のレストランで提供する「ビル産ビル消」を提案する都市における循環型の屋上ファーム。環境にやさしい農業として注目される水耕栽培と養殖のシステムを合わせ持つ「アクアポニックス」農法を採用し、野菜やハーブ、エディブルフラワーをはじめ、イズミダイやホンモロコなどの魚を太陽の下で育成。

 
これまで使用されていなかったビルの屋上をファームとして活用することで、断熱効果やCO₂排出量の削減を推進することができると言われており、食材輸送の環境負荷を示す「フードマイレージ」も低減する。

「AGRIKO FARM 桜新町」に次いで、2拠点目
となる「AGRIKO FARM 白金」を9月に開園。屋上で育てた野菜や魚は、桜新町はビル1階の「OGAWA COFFEE LABORATORY 桜新町」で、白金は2階にあるレストラン「gicca」にてメニューの一部として提供される。

※メニュー写真は「AGRIKO FARM 白金」の野菜を使ったレストラン「gicca」の一例です。季節ごとに内容は異なります。

撮影/加藤夏子
取材・文/ヒオカ
構成/金澤英恵