男は、逆に不倫の証拠を集めていた

「彼が私に見せたのは、スマホの録音画面でした。録音記録はいくつもあって、その内容は、私が彼が既婚であることを知った上で関係に及んでいるとわかる会話……要は、私が不倫に合意しているという証拠です。

彼は、私が訴えるなら俺も嫁にぜんぶ話して、このデータを渡す。そうすれば嫁に慰謝料を払うことになるのも私のほうだと言い放ちました」

この展開には非常に驚きました。美咲さんや家族を傷つけることはお構いなしに、和也さんは自分が不利にならないよう、罠とも言える方法で彼女を出し抜いていたのです。

「私がショックで気が動転していると、でも彼はまたいつもの優しい口調、いやむしろ被害者のような口調で泣きながら続けました」

ーー俺だって、こんなことしたくてしてるんじゃない。でも君が先に始めた。子どもに罪はないから、傷つけたり不幸にしたくない。これは最低限の防御だ。でも、俺は美咲と絶対に離れたくない。一生一緒にいたい。もう争うのはお互いにやめて、離婚できる方法を一緒に考えて欲しい……。

 

そうして美咲さんは、いまだ混乱状態のまま、彼と関係を切れずにいるのだそうです。

「別れたい」と言えばなぜだか奥さんにすべて話すと脅され、一緒にいればいるで離婚する気配のない彼に都合よく扱われているようで気持ちが病む。そんな状態に憔悴しきっている印象です。

 


「今、本当にどうすべきかわからなくなっています。きっぱり別れるのが正しいとは頭ではわかっています。でも、つい略奪婚をした有名人や知人の話に反応したり、彼との幸せな未来を妄想してしまうのが正直なところで……だけどこのままじゃ、一生独身で子どもも産めない寂しい人生になる……と、思考が堂々巡りしています」

美咲さんの様子から、人の心につけ込み騙すことは本当に罪深いことだと痛感します。心根の優しい人ほど、一度信頼した相手への気持ちを切り替えるのは非常に難しいことなのでしょう。

そして、ここまで敢えて触れませんでしたが、和也さんの妻はどのように過ごしているのか気になります。

和也さんがまるで独身の如く多くの時間を美咲さんに割いているのは明らかで、クリスマスやお正月さえも一緒に過ごしていたとのこと、妻はほとんど夫不在で3人の子どもたちと日常生活を送っていると予想します。さすがに夫の浮気にまったく気づいていない可能性も低いのではないでしょうか。

1記事目で、和也さんは出会いの当初「元妻は家事能力が高く、子供をしっかり育ててくれそうな女性」と言っていたそうですが、実際そうなのでしょう。言い方を変えれば、和也さんは家庭を放り出し育児を押しつけ、自分は家庭に縛られることなく好き勝手自由に遊び回れる女性を結婚相手を選んだとも言えると思います。美咲さんも然り、優しい女性、自分を甘やかしてくれる女性を選ぶ能力には長けているようです。

仮にもしも、美咲さんと和也さんが結ばれたとしても、和也さんのこのスタンスはきっと変わりません。むしろ妻のほうは、身勝手な夫から解放され人生が好転するようにも思います。彼が恐れている養育費や財産分与からも簡単には逃れられないはず。

そんな男性と一緒になり、その妻の代わりの存在となることが、本当に美咲さんの幸せ、望む未来なのでしょうか。

客観的に話を聞いただけでは他人にはわからない2人だけのやりとり、彼への気持ちが冷めない何かしらの理由もあると思うので、一概に否定はしたくありません。ですが、どうかまずは美咲さんの心の回復に努めて欲しいです。

和也さんが美咲さんに異様に執着しているのも事実で、心が不安定な状態ならば、今は冷静な判断を下すのは難しいと思います。けれど少しずつでも彼と距離を保ち、心が回復した状態で、美咲さんにとって本当に後悔のない判断、選択をしてもらいたいと強く願います。

もう一度弁護士などの専門家や第三者に相談するのも一つの方法かと思います。明るい未来を掴めるよう、心から応援しています。


写真/Shutterstock
取材・構成・文/山本理沙
 

 

 

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