ぽんさんとのお別れがいつか来ると思っていたものの、これまでは自分ごととして捉えられていなかったことを実感。ぽんさんが本当にいなくなってしまうかも……、という現実を突きつけられ、涙が止まりませんでした。ぽんさんは既に16歳。猫の平均寿命には達していましたし、ぽんさんに負担をかけてまで治療することが果たして正しいのか? 人間も先の見えない治療を続けるのは精神的にも経済的にも大変です。この頃、仕事がとても忙しい時期で、ぽんさんのそばにいたいのにいられないという、もどかしい状態が続きました。
そんな時、インスタグラムで交流のあった猫仲間から、「猫の學校2 老猫専科」という本を教えてもらいました。老いを迎えた猫とどうつき合っていくか、やがておとずれる永遠の別れをどのように受け止めればいいのか、といったことについて書かれていました。この本にあった、「何でも医療に頼るのではなく、何をしてほしいかちゃんと猫を見てあげること」「猫は飼い主がそばにいて、声をかけ、撫でてくれているだけでうれしいと思っているはず」といった言葉には救われました。もちろん治療をどこまでするかの葛藤が消えてなくなったわけではありませんが、ぽんさんのことを第一に考えようと思えるようになったのです。
でも、ぽんさんが病院から家に戻ってからは、自分から水を飲みだして、ちゅ〜るも食べてくれました。また、薬もちゃんと飲んでくれたこともあり、少しずつ動けるようになってきたのです。獣医師もこの回復ぶりに驚いていました。6kgから3kg近くまで体重が減ってしまいましたが、なんとか持ち直してくれたのです。
ところが、シニア期のぽんさんは、2022年のコロナ禍直前に甲状腺機能亢進症が発覚します。ある日、夜泣きがひどくなり、食べても一向に体重が増えないことから病院に連れていって明らかになりました。こちらも薬の投与で症状を抑えることになりました。
現在のぽんさんは、様子を見ながら薬を服用してもらっていますが、マイペースで暮らしています。好きな時間に寝て、起きて、時間が来たらご飯をねだります。若い頃に比べたら、むしろわがままになってきたような気がしますが、そこもまた愛おしいです。足の関節に歪みがでてきたせいか、歩く時はフラフラしていますが、薬を飲む時だけはスタスタと逃げていきます。
通院途中のぽんさんが、キャリーバッグの中から顔を出してキョロキョロするため、もっと外を見せてあげたくなりました。キャリーバッグだと、ぽんさんが立って外を見ることになるため、楽に座った姿勢でいられるスリングを買いました。
若い頃だったら飛び出してしまうので、危なくて外には出せませんでしたが、シニア猫だからこそ一緒に散歩できるようになり、うれしく思っています。いろんな景色を見て、風やにおいを感じてもらえたらいいなと。
ぽんさんは家族以上で、自分よりも大切な存在。子ども、彼氏、母親、友達など、その時々でいろんな役割を自然に演じてくれているようで、その包容力に何度も救われました。言葉は通じないけれど、私が辛い時には横に座ってくれたり、枕元で寝てくれたり……。「お前がいなきゃ、俺も困る」って思ってくれているのかな、と勝手に解釈しています。
ぽんさんと一緒に暮らしてもうすぐ22年。うちに来てくれた頃は天使のようなかわいらしさでした。黒毛に白いものが混じり、足が曲がってきても愛おしさは増す一方。インスタグラムでの投稿も、もうすぐ10年。病気を抱えるシニア猫の情報を得たくてはじめたのがきっかけですが、今ではいい記録になっています。おじいさん猫に変化していく過程をつぶさに見て、インスタに投稿し続けてきた私は、変化もひっくるめてかわいくて仕方がありません。
文・編集/吉川明子
前回記事「シャーシャー・シニア猫でもかわいいのは猫の特権!【シニア猫のお話】」>>
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