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【光野桃 短期連載②】
ローレン・ハットンに学ぶ「色香と老いが似合わせるトレンチコート」

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光野桃さんがミモレに帰ってきました…! 新刊の発売を記念してスタートした短期連載。おしゃれのヒントが詰まった一冊から、ミモレ読者に役立つセレブの着こなしアイデアをピックアップして掲載します。一覧ページはこちらです。ぜひご注目ください!(川良)

トレンチコートは
色香と老いが似合わせる


 軍服から生まれたトレンチコートは、すでにイメージが決まっている。それに引きずられずに自分のものにできないと、ただ「トレンチを着ているひと」にしか見えない。用の美を極めたこのコートに個性を反映させるにはどうしたらいいだろうか。
 素敵なのは往年の大女優たちの、肉感的な肢体をトレンチコートで包んでもなお、堅い素材から漏れ出てくる色香、といった着こなし。ウエストをきっちりとベルトで絞り、丈は長めのオーソドックスなデザインがいい。ソフィア・ローレンやグレタ・ガルボ、ネッカチーフが愛らしいオードリー・ヘップパーンなどの正統派女優をお手本に、口紅をしっかり塗って、きれいなパンプスで。
 トップモデルだったローレン・ハットンが、たっぷりとしたロング丈のトレンチコートを着ていたのも、とても格好よかった。映画「アメリカンジゴロ」で一世を風靡したハットンも、七十歳をいくつか過ぎた。颯爽とした歩き方は変わらないし、皺も目立たない。だが、やはり老いた。その枯れた首筋や、優しくなった目元が、トレンチコートの活動的なイメージと相殺され、渋い。これから目指すのならこれだ、と思う。
 トレンチコートは色香と老いが似合わせる。そしていつでも、香水は忘れずに。

(光野桃『白いシャツは、白髪になるまで待って』より引用)

 

『白いシャツは、白髪になるまで待って』
刊行記念トーク&サインイベントのお知らせ


日時:2018年6月2日(土)14時〜

場所:HMV&BOOKS HIBIYA COTTAGE(日比谷シャンテ3F)

内容:光野桃さんが刊行記念トークショーを行われるそうです!参加者へのワンポイントアドバイスも。トークショーへのご参加はフリー、サイン会当日までにHMV&BOOKS HIBIYA COTTAGE(日比谷シャンテ3F)で新刊を購入、またはお電話で予約して取り置きされた方はサイン会にも参加できるとのこと。光野さんと直接お目にかかってお話しできるチャンス!イベントの詳細は下記をご覧ください。
http://www.hmv.co.jp/store/event/33616/

 

 

<新刊紹介>
『白いシャツは、白髪になるまで待って』
光野桃 著(幻冬舎)定価1300円(税別)

「60代になって、びっくりするほどおしゃれが自由に、楽しくなった」。そう語る光野桃さんが「年齢を重ねてからの80のおしゃれのヒント」を本にまとめました。それらは「ベージュには黒」「陰影をブルーで着こなす」「毎日デニムとローファーだけで」「あえてノースリーブを着る」「変わりたいとき、メガネを変える」など、実際に毎日の着こなしに役立つものばかり。決して「こうしなくてはならない」というものではなく、「こっちのおしゃれも楽しいですよ~」手招きしてくれているよう。40代の「おしゃれと生き方の
トンネル期」を抜けた先には、こんなに爽やかで自由な未来が広がってくるのかと思える一冊です。


特別寄稿/光野桃 
構成・文/川良咲子(編集部)
写真/アフロ