段々と気持ちに余裕が出来てきて、あまり緊張せずに、お客様をお招きできるようになってきた。

そうして、不慣れながら、人をお招きする回数を重ねて、自分の中でいくつか"掟"ができた。

それを「1週間前、3日前、30分前の掟」と呼んでいる。

・・・1週間前の掟。
まず、お招きする日が決まったら、1週間前から、なんとなくお出ししたいものを考える。もし初めて作るもの、久しぶりに作るものだったら、その1週間の内に一度は予行練習をする。また、買い物先に、作りたいものに見合う材料があるか否か、なんとなくチェックしておく。

・・・3日前の掟。
いつもより念入りに家中の掃除をする。そうしておけば、あとはいらっしゃる前の、ちょっとした掃除で済む。

冷蔵庫の中も、スペースを空けるべく、中途半端に余ってる野菜などを使ったごはんで、整理していく。

前日に、買い物をする。
メニューのラインナップに沿って、買い物をするけれど、店先で、見るからに美味しそうなイキイキとした食材を見つけたら、予定変更する気持ちの余裕や大らかさもほしい。

一晩置いても大丈夫なもの、一晩置いた方が美味しいものは、前日から仕込み、あとは明日の活力温存のため、さっさと寝てしまおう。

そうして、当日の朝から、ちょっとした掃除と、トイレットペーパーやタオルの交換、料理の仕込みと、器の準備を、上手に組み合わせてこなしていく。


・・・30分前の掟。
あれよあれよと時間は過ぎていくけれど、約束の時間の30分前には、全ての準備(自分の身支度も忘れずに!)を整えて、お客様をお待ちしよう。

最後の"掟"の30分前には、ろうそくに火を灯す。

これはベルギーのマダムの、もう一つのこだわりだった。「最初のお客様がいらっしゃる30分前には、レストラン中のキャンドルに火を灯しましょう。キャンドルをつけるのは、ホールの準備の中で一番最後の作業。そうして、レストランの空気を落ち着かせて、よい雰囲気でお客様をお迎えすることができるのよ」

かくも、この文章は、
19時にいらっしゃるはずのお客様が30分遅れる、と連絡をいただき、思わず手に入れることのできた余暇に書いている。

30分遅れでいらしたお客様は、1時間灯されて、いい感じにロウの垂れたキャンドルの光を目の前に、「よくお招きは受けるけれど、キャンドルの光で迎えられることはほとんどないわね。なんだか、とっても嬉しい!」と、お料理を出す前から、もう今日の会は成功だ、と確信した。

○今日の応急処置…キャンドルにはつきものだが、今回の会でも、テーブルクロスにロウを垂らしてしまった。
ですが、どうぞご心配なく。次の方法で、すっかり綺麗に落とすことができる。

 

1)固まったロウは、なるべく手で取り除く。

 
 

2)取りきれなかったロウの部分の下に厚手の布地やタオルと、3回折り畳んだ新聞紙1枚を敷き、ロウの上にも、3回折り畳んだ新聞紙1枚を置き、上からアイロンをあてる。

 

3)ロウが溶けて新聞紙に染みてきたら、上下の新聞紙をずらしながら、新聞紙にロウが染みなくなるまでアイロンをあてる。

4)布地に、ロウが付いているときの特有の抵抗感がなくなったら、あとは、食器用洗剤で、その箇所を軽くもみ洗いし、洗濯機へ。

この方法も、ベルギーのお掃除のおばさんに教わった。