思い出も愛着もある。でも実際には何年も使ってないし、この先も出番はなさそう……家の片付けで悩ましいのは、そんな「今必要ではないけれど大切なモノ」の処分。
今回は、暮らしや家にまつわる書籍を多く著し、ご自身も家の中のモノを日々整理しているという文筆家の小川奈緒さんに、断捨離に最高に役立っているというフリマアプリ「メルカリ」の上手な活用法を教えていただきます。

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最初は知人のすすめで半信半疑で始めたメルカリですが、結果的に、これまで経験したどんなリサイクルよりも満足度が高かったことに自分でも驚いています。
これまでメルカリでは、70回以上の取引を行い、出品したものはほとんど売れていきました。トラブルも、何かイヤな思いをすることもなく(もちろん人によって経験も感じ方も違うと思いますが、個人の実感としては)毎回気持ちのいいやりとりができています。その理由を、自分なりに分析してみました。

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メルカリで整理を終え、リビング側のうつわ収納棚には「一軍」ばかりが収まった状態になりました。
 


メルカリをスムーズに利用するための5つのコツとは?


昨年まで、わが家の収納、とくに食器棚の奥には「今必要はないけれど愛着のあるうつわ」がいっぱい眠っている状態でした。
一人暮らしのころに陶芸作家さんの個展で買ったフリーカップ1個とか、新婚時代に使っていた5寸皿2枚とか、1つ1つはそれなりの金額を払って手に入れたものだけど、現在の3人家族で毎日ごはんを食べるライフスタイルには合わない……。

そこへ、わたしが最近出した書籍『直しながら住む家』の撮影で、各部屋の写真はもちろん収納の中まで見せることになり、「もう少し中身を減らして、モノが心地よく収まった印象にしたい」と整理を決意。
そのとき「メルカリ」が大いに役立った経験から、これからメルカリを始める人が、できるだけスムーズに気持ちよく利用できるためのコツをお伝えしたいと思います。

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メルカリで片付けをしたおかげで、無事に撮影にも対応できました。


コツ1:他の出品者の「SOLD」に学ぶ 


愛用品をメルカリに出品するにあたり、まずやったのは「『SOLD』に学ぶ」ということ。

たとえば、昔ヴィンテージショップで買った「ファイヤーキング」のマグカップを1個、売りたいとします。
メルカリの商品検索で「ファイヤーキング」「ヴィンテージ」「マグカップ」などと入れてみると、似たような商品がずらりと出品されていて、まったく同じ製品でも、売れたものと売れ残っているものとがあります。

そのなかで「SOLD」のマークがついたものをいくつか見ていくと、いくらぐらいの値付けが妥当なのか、どんな説明がされていると購買欲をそそるのか、またコメント欄までのぞいていくと、購入を検討している人が事前に知りたいことや確認したいこと(サイズや使用年数や使用頻度などを尋ねるケースが多い)がわかります。
それらの情報を自分が出品するページにすべて反映させるのです。

また、新品未使用ではないうつわの場合、除菌漂白剤などで最大限きれいにしてから出品すること、そうした処理を行ったことを文章内に加えておくことも、買う側からすると、品物と取引相手の両方の好感度アップにつながります。
そこまで誠意を示した上で、さらに「あくまで中古品であることにご理解いただける方にお願いします」と添えておけば、品物の状態についての誤解はある程度防げるはずです。

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サイズ表記はできるだけ細かく。でも「手のひらに載せた写真」などは避けています。


コツ2:面倒な値下げ交渉はなるべくしない


どんな出品物にも入りがちなコメントが「値下げ交渉は可能ですか?」というもの。
なるべく早く売りたくて、許容範囲の値下げの相談ならば、もちろん対応していいと思います。でも、自分としてはギリギリの安値にしたつもりが、出品からほんの数分でいきなり値下げ交渉をされると、ちょっと複雑な気持ちになるもの。

そうした場合は「まだ出品したばかりなので、もう少しこの価格で様子を見させてください」と返答すると、質問主は皆あっさりと感じよく「承知しました!」と返事をくれました(こうして利用者同士のマナーが守られているところも、メルカリの特長だと思います)。また、そうした値下げについてのやりとりを見た別の人が、表示価格で先に購入してくれる、というケースも何度もありました。

他にも例としてよく見かけるのは、利用者アカウントのプロフィール欄(名前などの素性を明かす必要はありません)に、値下げは行わない方針を明記している人や、出品ページの説明の中で「値下げ交渉はご遠慮願います」と先に断っておくパターン。これだけでも交渉の煩わしさはだいぶ回避できると思います。


コツ3:写真は多く、美しく、でも正直に

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できるだけ背景の情報量がない、シンプルできれいな写真を複数枚載せます。

出品物の売れやすさには、もちろん写真も大事です。
わたしの場合は、思い入れのあるモノを泣く泣く(?)手放すという事情だったこともあり、写真は毎回「この子(うつわ)の見合い写真」というつもりで撮りました。

よく、畳や素材感の目立つカーペット、花柄の布などの上で品物を撮って出品している例を見かけますが、品物よりも背景が気になってしまうような生活感漂う写真は、購買欲をそそりにくい気がします(もちろん大きな家具などは仕方ありませんが……)。

品物以外の背景はできるだけ情報量を排除し、なるべく自然な光で、品物の魅力が伝わりやすい角度から複数枚撮ります。
同時に、汚れやキズ、目立たないけれど人によっては気にするかも、という箇所は念のためすべて写真に撮って掲載し、その点について文章でも説明しておきます。
気持ちとしては、「ご覧のように小さな欠点はいくつかあり、それは前もって正直に全部お伝えします。でも、それらを上回る魅力があるとわたしは思っているので、価値をわかってくれる人に引き継いでいただけたらうれしいかぎりです」という姿勢で、写真や文章を作成すること。加えて、本音として売りたい値段よりも少し安めに設定して「お得感」を出すこと、これが売り上げ率の高さにつながった気がしています。

大手チェーンのリサイクルショップや古美術商などにうつわの買取を相談すると、「箱がない時点で価値は半減」などと言われたりします。
でもわたしはメルカリで、海外製のヴィンテージの小皿1枚とか、作家ものとはいえ縁が少し欠けた湯呑みなども、上記のポイントをおさえながら出品し、箱などなくてもすべて自分が納得のいく価格で売ることができました。


コツ4:利用者同士のマナーを守る

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半端なうつわを整理したことで、食器棚に統一感が生まれた気がしています。

一番うれしいのは、そのうつわを手に入れたいと思った人が直接購入を申し込んできてくれる仕組みのため、品物が無事に到着して取引完了、というタイミングで、「素敵なものを譲っていただきありがとうございます」「大切に使わせていただきます」「機会がありましたら、またぜひよろしくお願いします」といったコメントがもらえること。

メルカリの利用者マナーについてはまったく予備知識がなかったので、取引のたびにていねいで感じのよいコメントがやりとりされること(自然に自分も感じよくなるので)に感激しました。

もちろんお互い匿名のため、どこの誰かも知らない相手なのですが、短い期間でもきちんとした言葉のやりとりを交わすおかげで「自分の大切なものがいい相手にもらわれていった」という安堵感と満足感を得ることができました。これこそがわたしがメルカリに感じた大きな魅力です。


コツ5:梱包・発送はメルカリのサービスをフル活用

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なるべく捨てずに、それでも着々と家が片付いていく気持ちよさをメルカリで味わいました。

わたしは「高く売ること」より「気に入ってくれた人の手に渡ること」を重視していたので、メルカリの手数料(売上の10%)と宅配便の送料を引いたら利益はほとんどないような出品もいくつか行いましたが、それでも不燃ゴミとして捨てるよりずっと清々しいし、70回も取引をすれば売り上げも「チリツモ」で、総額はたしか5万円以上になったと思います。

もちろん、購入してくれた相手には何を送るにしても梱包はていねいに。梱包資材も「メルカリストア」 でオリジナル梱包グッズを販売しているので、メルカリでの売上金や取得したポイントを使って調達するのも合理的だと思います(もちろん手持ちのプチプチやダンボール、新聞紙の再利用でもOK)。

発送は「らくらくメルカリ便」を使えば匿名配送が可能です。おまけにヤマト運輸さんが家まで集荷に来てくれるため(オプションサービスですが安いので、わたしは毎回利用します)、ステイホーム中でも、出品から発送まで文字通り家から一歩も出ずに「おうちフリマ」ができるシステムが整っています。

思い立ったらすぐ出品して、売れたら発送、をくり返すうちに、いつのまにか家が着々と片付いている……メルカリはまさに「手軽で効率的な疲れないフリマ」だと思います。興味を持ったら、ぜひ試してみてくださいね。

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小川奈緒 Nao Ogawa

フリー編集者、ライター、文筆家として、家づくりや暮らしなどのライフスタイルをテーマに執筆活動を行う。最新刊は『直しながら住む家』(パイ インターナショナル)。既刊に『家がおしえてくれること』『心地よさのありか』など。長年続けるブログが最近新しいサイトに引っ越したばかり。

 

構成/松崎育子(編集部)