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心理占星術家・鏡リュウジさんが語る「占星術の魅力」とこれからの時代

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気持ちが潰れないように未来に希望をもって

 

 そうなんです。僕もここまで占星術のとおりに世の中が変化するとは思ってもみませんでした。
コロナによる世の中の変化が、グレート・コンジャンクションの影響なのかはもちろん検証できませんけど、今年のグレート・コンジャンクションは特別な星の配置として去年から注目していましたから、僕も本当に驚いています。

 

こうしたショッキングな時代の変化を目の当たりにすると、やはりみなさん不安になりますよね。この状態がいったいいつまで続くのか、先が見えないだけに落ち着かない。でも、こういうときこそ、気持ちが潰れないようにしないといけないなと。落ち込んでいるだけではなく、新しい時代に向けて今だからこそできることがあると思うんです。

家族の絆が見直されたり、働き方が改善されたり、自分の生活や生き方を考えるきっかけにもなっているでしょう。
僕個人としては打ち合わせや会議、大学の講義などがオンラインで行われるようになって、ちょっと人恋しい部分もありますけどね。オンラインは時短になるし効率的なんですけど、リアルに人と会って話すことの楽しさや触れ合うことの大切さが改めてわかりましたね。

編集部 星の配置から占った場合、この先の未来図はどんなふうになると予想されるのでしょうか。

 しばらくは暗中模索の状態が続くかもしれません。土星や冥王星といった影響力の強い星が睨みをきかせているため、世の中が不透明で何が真実なのかわからない混沌としたムードに包まれそうな感じです。

ただ、来年の春分の日のホロスコープは希望が持てます。占星術では春分の日の星の配置がそれからの1年を象徴するのです。このあたりから明るい雰囲気が出てくるんじゃないかな。みんなの気持ちも落ち着いてくるといいなと思っています。

占星術は歴史的にみても、終末論と結びつきやすいところがあるんです。今回のような劇的な星の配置があると、天変地異が起こるなどと騒がれて、そういう意味では危険性も孕んでいます。でも、健全な使い方をすれば、我々人間にいろんな示唆を与えてくれる叡智でもあるんですよ。

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プラトンもキケロも、みんな占星術に興味があった!?

 

 そもそもヨーロッパの社会では、「占い」は古くから大きな一つのテーマとして扱われてきたという歴史があります。ローマ時代から占いが当たるのかという話題はずっとあるし、プラトンもアリストテレスも占いを否定していません。高次な認識の形態の一つとして理解されていましたからね。

かの有名な古代ローマの偉人キケロは、『占いについて』(原題『De divinatione』)という重要な本を書いていますし、アウグスティヌスも占星術について論じています。彼らは占いには否定的ですけど、当日の最高の知識人が延々と占星術を論じなかればならない、ということ自体、占星術が無視できない存在だったということの証です。

日本にも驚くような逸話があるんですよ。例えば漱石の『坊ちゃん』に登場する山嵐先生がいるでしょ。そのモデルになったのが隈本有尚という学者だとされていて、その熊本が近代日本で最初の占星術の教科書を書いた人なんです。漱石は占星術の専門家に習っていたんですね。また、あの山田耕作が星占いをもとにした占い本『生まれ月の神秘』を書いています。

編集部 驚きました! そうした先生方も占星術というものに惹かれるものがあったのでしょうね。

 1990年代ごろから、イギリスの占星術協会が中心となって、アカデミズムとして占星術を扱おうという運動が高まってきました。その尽力のお陰で、イギリスのウェールズ大学では「文化天文学と占星術」というテーマで修士号が取得できます。

人類は天体現象を文化として取り入れてきたわけですよね。星座と神話の関わりもそうだし、曜日の概念も月、火星、水星、木星という具合に天体が関係しています。絵画にも星座や天体のモチーフは象徴的な意味をもって描かれたりしていますよね。そうした文化的観点から占星術を研究するのが「文化天文学と占星術」です。

また、僕が敬愛してやまないジェフリー・コーネリアス博士が中心となって教えているのが、カンタベリー・クライスト・チャーチ大学。こちらは「聖なるものの研究」と題して占星術や魔術、オカルトといった分野を研究する場で、同じく修士号が取れます。
魔術や秘教、オカルトといったひと昔前だったら学問として研究に値しないと思われていたものが、20世紀後半くらいから見直されてきたんですね。イタリアルネッサンスにしてもオカルトサイエンスを抜きには語れないし、魔術や魔女についても宗教学に絡んだ大きな文化運動の一つなわけだから否定することはできない。そういう新しい主張が台頭してきて、占星術もそういうジャンルの一つとして研究しようという動きが出てきたわけです。

編集部 なるほど。鏡さんも『魔女と魔法学』(説話社)といった本を書かれていて、オカルトの分野も大変お詳しいですよね。

 もともと小さい頃から魔法というものに興味があったんですよ。『ガラス山の魔女たち』とか魔女が出てくる童話は大好きで、ワクワクして読んでいましたからね。

編集部 ありましたね、『ガラス山の魔女たち』。よく読みました!
次回はそうした鏡さんのルーツをひもとく、幼少時代から占星術へと傾倒していった頃のお話などを、ぜひお聞きしたいです。

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次回(後半)は9月25日公開の予定です。お楽しみに!

文/岡本純子
構成/藤本容子

 

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