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心理占星術家・鏡リュウジさんに聞く「占星術の魅力」と本場イギリスでの学び

西洋占星術の大家・鏡リュウジさんに、占星術の魅力についてお聞きする第2回。
今回は鏡さんがいつからどんなきっかけで占いに魅了されていったのか、その出会いから今に至るまでのお話をお伺いしました。
もともと幼い頃から魔法に関心があり、魔女が出てくる童話を心踊らせながら読んでいたと、前回語ってくださった鏡さん。占いの世界に興味をもつことになった最初のきっかけはいったい……?


小学校高学年。本屋で手にした一冊のタロットの本が運命を変えた

 


編集部 鏡さんが占いと出会い、その世界に魅せられていった最初のきっかけは、どんなことだったのでしょうか?

 

 小学校高学年のときに、タロットの本と出会ったことが占いにハマっていく始まりなんですよ。
当時、タロットは社会的な現象になるほどの大ブーム。日本で本格的なタロットの実用本が出版され始めたのが1974年のころで、そのうちの一冊、辛島宜夫さんの『タロット占いの秘密』というカード付きの本が大ヒットしました。1974年というと僕は6歳くらいですから、さすがにその初版は買わなかったけれど、1979年にその続編として『プチ・タロット恋の十字架占い』が出版されて、それが僕が最初に手にした占いの本だったんです。本屋さんで見つけて手に取ったときの心踊る気もちは、今でも鮮明に覚えていますよ。

この『タロット占いの秘密』は二見書房さんから出された本だったのですが、なんと当時、80万部も売れたそうです。2万部売れたら大ヒットと言われる今の時代からすると驚異的な数字ですよね。
実は、僕が最初に本を出させていただいたのも二見書房さんで、この大ヒットがあったから後々オカルト書を出すようになったんでしょうね。その意味でも恩があるんです。

その当時の本を読むと、タロットは魔術と関係があると書かれていて、魔法好きの僕にとって、それはそれは興奮する内容でした。

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編集部 幼い頃から占いに興味を感じられていたんですね。その後、中学校、高校へと進学されても、占いや魔術に対する情熱は失われなかったのですか?

 ますますのめり込んでいきましたよ。笑 
中高の頃は近代魔術にも興味がありました。19世紀末に英国やアメリカを中心とした魔術運動というのがあり、それが日本に本格的に紹介されるようになったのが80年代。僕がちょうど高校一年生の頃に、国書刊行会から20世紀を代表する魔術師、アイレスター・クロウリーなどの魔術書が翻訳されて、時を同じくして荒俣宏さんが精力的に出版されていった神秘学系の著書にも影響を受けました。高校生の多感な時期にそういう本がどんどん出版され始めたわけですから、そこにハマらないわけがないですよ。笑


英国から個人輸入してでも、占いの本が読みたい!

 


鏡 そんなわけで、中学から高校の頃には、日本で出版されている占い関係の本はひと通り読破していました。そして日本だけでは飽き足らず、洋書にもあたるようになるんです。が、洋書を日本の書店を通して買うと、手元に来るまでに2〜3ヶ月かかる。値段も2〜3倍に跳ね上がる。まだ学生の身で自由になるお金もなかった僕が考えたのは、「そうだ、直接輸入しよう!」ということでした。

まず、拙い英語でイギリスの出版社に手紙を送り、国際返信用の切手というのを同封してカタログを送ってもらいます。そのカタログを隅々まで読んで、自分で注文書を書き、郵便為替を組んで欲しい本をオーダーする。今思うとものすごく面倒な手続きを、若さと情熱だけでやり続けていましたね。

編集部 すごいエネルギーですね! 好きとはいえ、そこまで徹底的に突き詰めていくことはなかなかできないです。知りたいという知識欲が優っていたんでしょうね。

 ところが深く知るにつれて、だんだんと「これは迷信ではないか」ということにも、一方で気づいていくんです。タロットにしても、「待てよ、どう考えてもこんな紙切れが当たるわけないでしょ」と。頭の中では、昔の西洋占星術や魔術の世界観が、科学の発達した現代に通用するわけがないとわかっていながらも、それでもどうしても惹かれていきました。神秘的な魅力があったんでしょうね。やっぱり離れられなかった。
そう思っていたときに、心理学者のユングと出会ったんです。

編集部 カール・グスタフ・ユングはスイスの精神科医であり心理学者でもある人物ですよね。深層心理について研究し、「ユング心理学」という分析心理学を創始した学者です。それがどう占いと関わっているんですか?

 僕がオカルトや魔術、占い関係の本を、洋書を個人輸入してまで読みあさっていたころ、すでに多くの本にユングの名が登場していました。「これはユングについて知っておかなければいけない」、そう思いユングの入門書を読んでみたんですよ。そうしたら「なんだこれ、やっていることは占いや魔術といっしょじゃないか」、そう思ったわけです。笑

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