盛るのは時代遅れ! 本当の自分を突き詰める


会社のため、お金のため、モテるため、そうした時代の価値観に翻弄され、自分自身と向き合う時間をもてなかった、という方もいるかもしれません。「風の時代に“私という個性”と邂逅するためのキーワードは “less”です」とyujiさんは語ります。

「本当はこれが好きだけど、こっちを好きって言った方がモテるかなとか、社会的な評価がいいかなとか。他人軸のバイアスを自分の中に持ってしまうと、風の時代のレールからはどんどん外れていってしまいます」とyujiさん。

「世俗の垢とは言いたくないですが、年齢を重ねると本当の自分が見えにくくなったりしますよね。人の形をしていたはずの自分が、鏡を見たらいつのまにか着ぐるみのようなシルエットになっているというか。土の時代は盛る作業、つまり“more”が推奨されましたが、風の時代は削っていく作業“less”がポイントなんです。他者目線だったり、会社や組織の縛りだったり、外側の付着物をどんどん削って本来の自分の形を彫像していく。好きなことをして、共感できる仲間を探す。そんな“自分クエスト”ともいえる旅を楽しむのが、風の時代らしい生き方なんです。

削っても削っても本当の自分が見えないという方は、自分の小さい頃を思い出してみてください。僕は“8歳までにやってきたことの中にその人の魂が求める本質がある”と思っていて。僕の場合は、6歳頃からワープロを使って小学校の作文を書いたり、ラジカセにマイクをセットしてDJの真似ごとをしたり、7歳頃から漫画を描き始めたり。何かを使って頭の中に流れてくるストーリーを表現するのが好きな子どもでした。そうそう、小学校から中1くらいまではスチールモデルもしていて(笑)。おかげさまで今は、それらを雛形にした好きな仕事をしています。8歳くらいまでに無意識下で好きだったことを思い出せない場合は、両親など身内の方に聞いてみたり、過去のものを見返してみると糸口が見つかるかもしれません」
 

 

“ROM専”の人も発信してみることで世界が変わる


yujiさんが“自分クエスト”と表現する自分探し、仲間探しの旅において、必須となる武器やアイテムはあるのでしょうか。

「内観する作業に対して逆説的になりますが、風の時代は外の世界とつながることも内なる本当の自分を知るきっかけになります。だから、拡散力が高くて、自分がピンとくる記事に偶発的に出会えるSNS、今ならTwitterは相性が良いアイテムだと思います。琴線に触れる記事があったらコメントしたり、フォローしたり、イベントに行ったりしてみる。そういったアクションを起こすことがこれからの時代は推奨されるんです。

24色の絵の具セットは、黄、赤、緑、いろんな色が揃っていることでカラフルな絵が描けますよね。風の時代に行う“自分クエスト”は、自分がセットになれる共感者、いろんな色を持った仲間を探す旅。でも、黙っていても他の色は見つかりません。“私は青だよ!”と発信して初めて、補完し合う他の色が集まってきてくれるんです。今はROM専門で見ているだけという方も、これからは自分の色を発信してみることで世界が変わるかもしれませんよ」