閉塞感のある時代こそ、「志」の強さが試される

 

夢を抱き、未来を信じ、競い合うように前へ、前へと駆けていった、五代や龍馬、明治の人々。その姿が感動を誘うのは、今、コロナ禍という未曾有の災難の中に、私たちが置かれているせいもあるのでしょう。しかし、こんな今こそチャンスだと、小松さんは言います。

 

「コロナ禍によって、生活様式のすべてが変わりつつある今、私は『第二の文明開化』の時期かもと思っているんです。『天外者』では、五代たちが髷(まげ)を切り、着物から洋服に着替えて、新しい時代に踏み出していきました。今の時代も、それと同じで、たとえば、コロナによって日常の必需品も変わったし、家で仕事する人が増えたので、家具の配置や、生活の導線が変わったはずです。マスクが当たり前のファッションになり、リモートワークが当然の仕事の形態にと。そんなふうに、世の中の変化を受け入れ前向きに捉えて生きていく人と、そうでない人と……」

五代や龍馬なら、きっと前へ前へと進んだと思いますよ、と小松さん。その言葉にハッとさせられます。私たちには禍(わざわい)をプラスに転じさせる、そんな心構えができているのだろうか?——と。

「そう、試されますよね。五代や龍馬が生きていたら、きっと新しい時代に合う新しいビジネスを考えたでしょうし、今の時代にだって、きっと彼らのような人はいますよ。そして、もう動いているはずです。時代の変化を受け入れ、夢を追いかけて、単にお金を儲けるだけでなく、夢を叶えることで世の中全体を豊かにしていこうという思いの人たちが……。志(こころざし)ひとつを持って、新しい世界に飛び込んでいく。若い人にとっては、今は、そんなチャレンジができる時でもあると思っています」

 


→小松江里子さんのインタビュー、前編はこちらからお読みいただけます。

 

<作品紹介>
『映画ノベライズ 天外者(てんがらもん)』

3月15日発売 講談社 1350円(税別) 

維新後、実業家として頭角を現す五代。しかし、彼には敵も多くーー。孤高のヒーローの人生を描いた映画ノベライズには、この本だけで読める「幻のシーン」と、未公開写真を含む巻頭カラーページを収録。(168P・巻頭カラー8P/未公開カット含む)

読者プレゼントのお知らせ
5名様に『映画ノベライズ 天外者』をプレゼント

3月15日発売の新刊『映画ノベライズ 天外者』を5名様にプレゼントいたします。


応募締め切り:3月31日(水)〜11:59まで●応募にはmi-mollet(ミモレ)の会員登録(無料)が必要です。
●プレゼントのご応募は、1回までとさせていただきます。
●当選者の発表は賞品の発送をもってかえさせていただきます。

撮影/赤松洋太
取材・文/大谷道子
構成/山崎 恵

前回記事「映画『天外者(てんがらもん)』は「三浦春馬さんがいたから書けた作品」【脚本家・小松江里子さん】」はこちら>>

 
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